2007 Fiscal Year Annual Research Report
LIM蛋白ファミリーによる自然免疫反応調節機構の解明
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18590480
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田中 貴志 The Institute of Physical and Chemical Research, 生体防御研究チーム, 研究員 (00415225)
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Keywords | NF-κB / 自然免疫 / LIMタンパク |
Research Abstract |
PDLIM2(RDZ and LIM domain protein-2)/SLIM(STAT-interacting LIM protein)は、申請者らが単離したLIM蛋白ファミリ PDLIM2が転写因子NF-κBに対する核内ユビキチンリガーゼであることが明らかになった。すなわち、PDLIM2は、刺激によって核内に移行してきたNF-κBのp65サブユニットと結合して、これを核内でLIMドメイン依存性にユビキチン化・分解することにより、細胞レベルおよび個体レベルでの炎症反応を負に制御するようにはたらいていた(Nat.Immunol.8,584-591,2007)。 また、PDLIM2と同じLIM蛋白ファミリーに属するRil(PDLIM4),ALP(PDLIM3)およびElfin(PDLIM1)も、PDLIM2と同様にNF-κBの転写活性を負に制御することも明らかになった。中でもRilは、マクロファージや樹状細胞などの自然免疫細胞に強く発現しており、マクロファージの細胞株にRilを強制発現させると、LPSで刺激による炎症性サイトカインの産生を著明に抑制した。現在、RilがNF-κBを負に調節する分子メカニズムを解析するとともに、Rilの個体レベルでの機能を明らかにするために、Rilノックアウトマウスを作製中である。さらに本申請研究により、PDLIM2がインターフェロン-α/β遺伝子のIRF7やIRF3による転写活性化も負に制御することが明らかになった。 以上のことから、PDLIM2および類似のLIMタンパク質群は、自然免疫担当細胞の機能を広く負に制御していると考えられる。
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