2008 Fiscal Year Annual Research Report
医療における身体拘束の適正化および管理手法に関する研究
Project/Area Number |
18590497
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
杉山 直也 Yokohama City University, 附属市民総合医療センター, 准教授 (80404979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田原 俊成 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 准教授 (00244426)
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Keywords | 医療管理 / 行動制限最小化 / 隔離 / 身体拘束 |
Research Abstract |
医療における身体拘束などの行動制限の管理手法については、研究報告者らが行った精神科領域の急性期治療場面における先行研究から、手法の類型化が可能であり、診療ツールを用いたデータを集積・分析することによって医療行為の安全性や効率性、診療の質確保に貢献できる可能性があることが示唆されている。一方、身体拘束は精神科に限らずどの医療領域においても実施の必要性が存在するため、基準や概念、評価方法などの情報を共有して、領域を超えた形で有用かつ安全性を向上させる技術を開発できる可能性がある。本研究ではこれらをふまえ、初年度までに各種の情報発信の機会を設けると同時に、既存調査研究の詳細な分析を行い、申請者が所属する医療機関では病院全体で行う安金管理講習で討論するなど、領域を超えて有用性の高い身体拘束の考え方・あり方を継続的に検討した。その結果、同意、最小化、判断などの要素において精神科および一般身体科の各領域閥で若干の概念相違が見られ、精神科における法的規棚がある種の特殊性を生じている可能性が示唆された。次年度は、申請者が所属する医療機関において全診療科を対象とした実態調査を行い、更なる検討を重ねた。その結果、一般診療科を含め身体拘束は日常的に行われていることが示され、その頻度は重症度や症状特性との関連が示唆された。関連インシデントの発生は重症管理下で少なく、マンパワーがその発生を防いでいる可能性が否定できなかった。また、インシデントを予防することが身体拘束の長期化予防につながる可能性が示唆された。最終となる本年度は、調査結果をふまえ、各関係各方面(安全管理統括者(医師)・精神科医師・安全管理担当看護師・集中治療部門看護師・精神科部門看護師など)からの情報交換や議論を重ね、ほとんどの医療領域で共有可能な概念基準の作成および診療ツールの開発を実施し、医療現場への導入を行った。また、これまでに得られた知見や調査結果については機会を得て学会発表等を行った。
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