2006 Fiscal Year Annual Research Report
質的研究法を用いた服薬アドヒアランス低下の要因とその生成プロセスの探求
Project/Area Number |
18590500
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
亀井 美和子 昭和大学, 薬学部, 教授 (00237504)
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Keywords | 服薬アドヒアランス / 外来患者 / グラウンデッドセオリーアプローチ |
Research Abstract |
本研究は、服薬アドヒアランスに結びつく要因とその生起プロセスをグラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて見出すことを試みた。本研究では、通院して投薬を受けているにも拘わらず、服用しない薬があり、その理由が単なる「飲み忘れ」ではない人を対象とした。対象者を選定するために、まず、東京・千葉・埼玉の薬局20店舗の協力得て調査票を配布し、服薬状況に関する調査を実施した。配布した調査票は約2,000通であり、456通を回収した(回収率約23%)。回答のうち、14日分以上の投薬を受けており、かつ、服薬しない薬がある人で、その理由が、うっかり忘れてしまうことだけではない人を本研究の対象者として選定した。あまり服用しない薬がある、または、飲み忘れがあると回答した人は全体の約42%を占めたが、そのうち上記の選定基準を満たし、かつ、面接調査への同意を得た人は14名であった。なお、選定基準を満たしていないが面接調査への同意意思がある人6名を追加して計20名を面接調査対象者とした。対象者と面接日時を取り決めたうえで対象者宅を訪問し、約1〜2時間のイン・デプス・インタビューを行った。その結果、アドヒアランス低下に結びつく要因は、大きく分けて「外部からの情報」と「自身の症状、経験、行動から得られる情報」の2つに分けることができた。「外部からの情報」により低下している人は、医療従事者やメディア、家族、友人などから得られる情報であり、副作用に関する情報や薬は体に良くないといった情報に影響を受けていた。また、「自身の症状、経験、行動から得られる情報」により低下している人は、病気の認識が低い、自覚症状がない、検査値に変化がない、過去に有害作用を経験などの理由を有していた。そして、これらの情報から薬に対する考えが生じ、その考えに基づく方針として、アドヒアランスに影響しているというプロセスが示唆された。次年度は、これらの理由でアドヒアランスが低下している人に対する方策を検討する。
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