2007 Fiscal Year Annual Research Report
ディファレンシャル・プロテオーム解析によるがん細胞生存シグナル因子の探索
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18590506
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
内田 和彦 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (90211078)
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Keywords | プロテオーム / 薬剤応答性 / タンパク質 / 質量分析 |
Research Abstract |
本研究では、明細胞がんの細胞株(抗がん剤感受性株と抵抗性株)ならびに手術標本組織を用いて、抗がん剤の抵抗性(感受性)に関連するタンパク質「cancer-cell survivalシグナル因子」とそのカスケードを調べる。具体的には、マイクロアレイを用いた遺伝子発現解析やディファレンシャル・プロテオーム解析法によって、抗がん剤感受性、非感受性明細胞がん細胞に抗がん剤を投与した後の細胞増殖やアポトーシス制御タンパク質を解析する。これらの同定されたタンパク質「cancer-cell survivalシグナル因子」をターゲットにした難治癌治療薬(低分子化合物)の基礎研究とする。明細胞がんのひとつである淡明腎細胞癌の高密度SNPアレイによるコピー数異常の解析を行った。コピー数の変化としてはpolysomy, monosomyや不均衡転座と考えられる染色体単位の変化が比較的多く認められた。アレル別のコピー数解析により、異常を示した染色体領域の一部で、uniparetal polysomyが新たに見出された。uniparetal polysomyの領域からは癌抑制遺伝子や活性型遺伝子変異が発見されており(Kralovics, N Engl J Med 352:1779, 2005)、現在その意義については検討中である。またDNAコピー数と遺伝子発現の結果を比較することにより、ヘミ欠失(LOH)領域からがん抑制遺伝子候補としてIdaxが細胞増殖と抗がん剤によるアポトーシスに関与することが明らかになり、Wntを介した「cancer-cell survivalシグナル」の一部が明らかになった(投稿中)。定量PCRによりこれらの遺伝子の組織と細胞株における遺伝子発現低下を確認した。初年度に確立したディファレンシャル・プロテオーム解析法については、今後本明細胞癌のタンパク質相互作用を中心に解析する予定である。本研究の成果により予後が悪い明細胞がんの治療への道が開くと期待される。
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Research Products
(13 results)