2006 Fiscal Year Annual Research Report
実験潰瘍性大腸炎モデルにおけるニコチン受容体を介するコリン性抗炎症免疫機構の役割
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18590507
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
門脇 真 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 教授 (20305709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 武 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 助手 (70316181)
藏本 博史 京都工芸繊維大学, 工芸科学部, 助教授 (30153373)
杉山 敏郎 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (00196768)
門脇 孝 東京大学, 医学部, 教授 (30185889)
影山 夏子 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 助手 (90342865)
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / オキサゾロン / ニコチン受容体 / 腸管粘膜免疫系 / Th2 / サイトカイン |
Research Abstract |
近年、潰瘍性大腸炎(UC)は年毎に増加しているが、未だ病因不明で治療方法の確立していない難病であり、有用な病態モデルを用いた病因・病態解析も進んでいない。しかしながら、疫学的研究によりUCの発症頻度が喫煙者で有意に低いことが報告されている。そこで、まず、現在UCの病態と最も類似していると考えられているオキサゾロン(OXZ)誘発大腸炎モデルを、Th2系免疫応答がさらに優位となるように改良した結果(OXZ-UCモデル)、体重減少や下痢や血便などの大腸炎の症状及び潰瘍やびらん、炎症、出血等が観察され、病態スコアや病理学的スコアの増加が見られた。また、好中球などの浸潤の指標であるMPO活性の有意な上昇が見られた。 これらの症状やMPO活性はタクロリムスの投与により悪化し、プレドニゾロンの投与により改善した。さらに、ニコチンの投与により用量依存的(0.32-3.2mg/kg, sc)に改善され、この治療効果は非特異的ニコチン受容体拮抗薬ヘキサメソニウム及びα7ニコチン受容体拮抗薬methyllycaconitineにより抑制された。Th2系サイトカインIL-4、IL-5、IL-10各mRNA発現量は脾臓(全身免疫系)と結腸(腸管粘膜免疫系)で共に増加したが、Th1系サイトカインIFN-γmRNAは、脾臓では減少し結腸では増加した。すなわち、OXZ-UCモデルでは、全身免疫系及び腸管粘膜免疫系の双方においてTh2系免疫応答が亢進していた。これらTh1系及びTh2系サイトカインはニコチン投与によりいずれも抑制された。また、α7ニコチン受容体mRNAはOXZ-UCモデル結腸で増加した。さらにFITC-α-ブンガロトキシン(α7ニコチン受容体拮抗薬)を用いた形態学的検討により、α7-ニコチン受容体が結腸粘膜層に存在し、その発現量もOXZ-UCモデルで増加することが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)