2007 Fiscal Year Annual Research Report
実験潰瘍性大腸炎モデルにおけるニコチン受容体を介するコリン性抗炎症免疫機構の役割
Project/Area Number |
18590507
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
門脇 真 University of Toyama, 和漢医薬学総合研究所, 教授 (20305709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 武 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 助教 (70316181)
藏本 博史 京都工芸繊維大学, 工芸科学部, 准教授 (30153373)
杉山 敏郎 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (00196768)
門脇 孝 東京大学, 医学部, 教授 (30185889)
影山 夏子 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 助手 (90342865)
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / オキサゾロン / ニコチン受容体 / 腸管粘膜免疫系 / Th2 / サイトカイン |
Research Abstract |
炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎及びクローン病は、厚生労働省の特定疾患に指定されている慢性で難治性の疾患であり、近年患者が急増している。腸管での免疫異常を背景とする炎症性腸疾患に対する積極的な病態研究にもかかわらず、その病因や遷延化因子などはいまだ不明であり、したがって病態を基盤とした治療法は確立されていない。 最近、神経性α7型ニコチン受容体がマクロファージやリンパ球などの免疫系細胞にも存在することが見出され、迷走神経刺激による「コリン性抗炎症機構」の本体として炎症性サイトカインの遊離を抑制するという重要な働きをすることが報告された。 そこで、まず、現在UCの病態と最も類似していると考えられているオキサゾロン(OXZ)誘発大腸炎モデルを、Th2系免疫応答がさらに優位となるように改良(OXZ-UCモデル)、本OXZ-UCモデルにおいて、ニコチン受容体を介するコリン性抗炎症・免疫機構のUCの病因及び病態形成への関与を検討した。迷走神経刺激薬はprednisoloneと同様に有意な薬理効果を発揮し、さらに、ニコチンも用量依存的に有意な治療効果を発揮した。この治療効果はα-7型ニコチン受容体アンタゴニストで抑制されたことにより、少なくとも一部はα-7型ニコチン受容体を介して作用することが示唆された。また、形態学的検討により、α-7型ニコチン受容体が腸管の粘膜層に存在し、OXZ-UCモデルにおいて増加していることを明らかにした。さらに、分子免疫学的検討により、OXZ-UCの全身免疫系ではTh1/Th2バランスガTh2系にシフトしていること、腸管粘膜免疫系ではTh1系とTh2系がともに亢進していることを明らかにした。ニコチンは全身免疫系及び腸管粘膜免疫系の両免疫系のTh1系とTh2系の全てのサイトカインを抑制し、これによりOXZ-UCに対して治療効果を発揮することが示唆された。 以上より、BALB/cマウスOXZ-UCモデルを用いた検討により、コリン性抗炎症・免疫機構を活性化することが潰瘍性大腸炎の治療に有効である可能性を示唆した.
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Research Products
(8 results)