2007 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質のO-グリコシル化亢進にもとづく2型糖尿病発症機構の解明と改善薬の開発
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18590517
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
安井 裕之 Kyoto Pharmaceutical University, 薬学部, 教授 (20278443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 豊 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (20388028)
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Keywords | O-グリコシル化修飾 / 2型糖尿病 / インスリン抵抗性 / OGT / 金属錯体 / バナジル錯体 / 亜鉛錯体 / マンガン錯体 |
Research Abstract |
今世紀最大の生活習慣病と位置づけられ糖尿病は、わが国では治療中および潜在患者を含めると1600万人に達すると言われており、新たな治療薬の開発が強く要望されている。高血糖状態が続くとインスリンシグナル伝達系にある細胞内タンパク質のO-グリコシル化修飾(0-GlcNAc化)が促進されるため、インスリン抵抗性が惹起して2型糖尿病の発症につながる機構が最近支持されてきている。我々は、実験モデル動物を用いた検討から、生体関連元素を含有する金属錯体の中に2型糖尿病の改善作用があることを見出した。今回の研究では、(1)糖尿病改善の作用機構について、金属錯体とO-linked β-N-acetylglucosamine transferase (OGT)との相互作用の点から解明すること、さらに(2)インスリンまたは従来の合成薬剤に代わる臨床応用可能な新しいバナジウム、亜鉛、およびマンガンを含む生体関連元素含有錯体を開発することを目的として2年間の研究を計画した。昨年度(平成18年4月〜平成19年3月)は、以下の1-4を中心に検討を行い、培養細胞系における細胞内タンパク質の糖化修飾およびインスリン抵抗性の測定・評価方法を確立した。 1.配位子の合成:バナジウムおよび亜鉛錯体合成のためのマルトール誘導体の合成、マンガン錯体合成のためのサレ ン関連配位子の合成 2.各種金属錯体の合成:バナジル(IV)、亜鉛(II)、マンガン(III) 3.錯体の構造解析:FT-IR,UV-VIS,CD,ESR,磁化率 4.培養細胞系を用いるインスリン抵抗性改善作用の評価:脂肪細胞(3T3-L1)引き続き、今年度(平成19年4月〜平成20年3月)は、各種金属錯体による抑制効果を検討した。その結果、亜鉛錯体が細胞内タンパク質の0-グリコシル化修飾を抑制することを初めて見出した。その抑制機構について、さらに現在、検討中である。
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