2006 Fiscal Year Annual Research Report
尿中蛋白不均一性の機序の解明と病態解析への展開応用
Project/Area Number |
18590519
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
伊藤 喜久 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20129026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 俊幸 自治医科大学, 医学部, 助教授 (50211636)
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Keywords | 尿 / 修飾アルブミン / β2-ミクログロブリン / α-1ミクログロブリン / 不安定性 |
Research Abstract |
本年度は、当初の計画通り成果の得られた領域を重点的に深化させて取り組みを行った。論文化までは至っていないが、IFCC(国際臨床化学会)の推薦もあり、NKDED(NIH)主催の国際会議において、世界的な腎機能検査標準化の流れの中で、現在進めている研究を報告した(NKDEP/IFCC Joint Conference, March27-28,2007,George Washington University)。 1)修飾アルブミン(伊藤) 修飾アルブミンが出現する尿は、尿細管障害尿と予測し、アルブミン低値、NAG、α1-mの高値尿を選び、これをHPLCにより分画、免疫測定法との乖離検体を容易に見出した。尿中修飾アルブミンの出現は糖尿病に特異的な所見ではなく、糖尿病では糸球体よりもむしろ尿細管が初期病変を形成し、これが免疫学的に捉えられていないことが臨床診断上問題である可能性が示された。 HPLCゲル濾過法でアルブミン分画を得て、これをトリプシン処理後TOF MASSで分析、多くのアルブミンピークを得て、一次構造解析から60%以上の捕捉率を得た。これを現在MS-MSにかけ修飾アルブミン、非修飾アルブミン(正常構造)の構造特性をさらに検討する予定ある。一方、アルブミン抗体結合affinity chromatography through分画も同様に分析を行ったが、こちらは尿アルブミン以外の成分ピークが多数見られて、有効な分析がなされなかった。前者の方法アプローチに限界がある場合には、HPLCと抗体結合affinity chromatographyを組み合わせて高度の精製分画を得て実施する予定である。 2)β2-ミクログロブリン(β2-m)(山田) β2-ミクログロブリン(β2-m)の断片化様式を実際の患者尿試料と酸性化尿に精製β2-mを添加した場合でウエスタンブロットにより比較した。同じサイズの断片が得られたため、後者の実験系をスケールアップして断片の構造同定に進むところである。今後、アルブミン同様MSの分析を行う予定である。 3)α1-ミクログロブリン(α1-m)(伊藤) 尿中α1-mは尿中で極めて安定で変性が少ない。ところが、しばしば尿中に分解産物が散見される。この機序の解明をここと見た。通常pH5.0-8.0ではほぼ安定であるが、更に酸性度が低下すると分解が促進される。この機序として酸性プロテーゼの作用が疑われた。そこで、β2-mの構造解析との比較を行ったが、α-m一次構造上は一箇所しか切断部位はなく、新たな酵素の存在が強く示唆された。
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