2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590524
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
増本 純也 Shinshu University, 医学部, 講師 (20334914)
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Keywords | 臨床 / 免疫学 / 病理学 / 細菌 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
自己炎症性疾患の病態解明のためNOD蛋白質の解析を行っている。平成19年度は、研究計画の概要に沿って、NOD蛋白質に対する抗体を作成するためリコンビナント蛋白質の作成を行った。同時に自己炎症性疾患患者に関する臨床研究もおこなった。自己炎症性疾患の一つであるマックル・ウェルズ症候群(MWS)と診断され、信州大学医学部附属病院に治療のため入院した患者から分離した単核球を、IL-1βレセプター拮抗薬のアナキンラによる治療の前後で、短時間各種濃度のグラム陰性細菌の莢膜のリボ多糖(LPS)や細胞壁の構成成分であるムラミルジペブチド(MDP)などの細菌構成成分を加えて培養し、上清中のIL-1β,IL-6,IL-8,TNFα,IFNγ濃度を経時的に測定した。その結果、病態の理解に迫る新しい発見があった。健康なボランティアの3人から分離した単核球は、IL-1β,TNFαの分泌は通常ほとんどないが、MWSの患者から分離した単核球はIL-1βの産生が亢進しており、LPSやMDPの刺激に対して過剰な分泌を示した。驚いたことにTNFαの産生は低値のままで、LPSやMDPの刺激に対してもほとんど変化が認められなかった。アナキンラによる治療を開始後、IL-1βの産生は速やかに低下し、LPSやMDPの刺激に対する反応はコントロールとほぼ変わらないパターンになった。一方で、TNFαの分泌は低値で、LPSやMDPの刺激に対しても反応は見られず低値のままであった。このことは、MWSにおいて、原因遺伝子産物のNOD蛋白質であるcryopyrinを含むシグナル伝達複合体のインフラマゾームが活性化したままの状態であることを間接的に示している。しかし、IL-1βの過剰発現がみられなくなったことから、アナキンラの作用機序がIL-1βレセプターそのものだけでなく、インフラマゾームにも及んでいる可能性も考えられた。IFNγの産生は検出感度以下であった。これらの知見は、アメリカリウマチ学会の学会誌であるArthritis and Rheumatism誌、346巻、968-973頁に掲載され、(発表論文1)その巻のハイライトである"In this issue"に解説図入りで紹介された。また、家族性地中海熱などの自己炎症性疾患に関する総説を執筆した。Cryopyrinの発現に関してはを昨年度の日本薬学会で発表した。
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Research Products
(8 results)