2007 Fiscal Year Annual Research Report
悪性腫瘍、神経変性疾患でのスフィンゴシンキナーゼの発現異常の解析と病態での意義
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18590526
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村手 隆 Nagoya University, 医学部, 教授 (30239537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小嶋 哲人 名古屋大学, 医学部, 教授 (40161913)
高木 明 名古屋大学, 医学部, 助教 (30135371)
坂野 喜子 岐阜大学, 医学部, 准教授 (50116852)
野澤 義則 岐阜国際バイ研究所, 研究所長 (10021362)
鈴木 元 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80236017)
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Keywords | sphingosine kinase 1 / quantitative RT-PCR / myelodysplastic sundrome / acute leukemia / sphingolipid metabolites / anti-cancer drug sensitivity / GDNF / MEN2 type tumor |
Research Abstract |
1.骨髄異形成症候群(MDS)および急性白血病(AL)におけるスフィンコ脂質代謝酵素発現量を定量RT-PCRを用いて解析し、これらの疾患ではスフィンゴシンキナーゼ1(SPHK1)の過剰発現と中性スフィンゴミエリナーゼ2(NSMase2)の発現低下が特徴であることを明らかにした。さらにこれらの変化が実際にスフィンゴ脂質代謝産物に影響を与えうるか、またそれが細胞の特性に影響しうるかを抗がん剤ダウノルビシンへ(DA)の感受性について解析を行った。16種の白血病細胞株におけるSPHK1の発現は多様性があったが、SPHK1メッセージ、タンパク、酵素活性にはよい相関が有り、これらの発現レベルの高いものがダウノルビシンへのIC50が高い傾向が認められた。一方、NSMase2には同様の所見は認められなかった。スフィンゴ脂質代謝産物の解析はLC/MS-MSを用いて行った。解析の結果、DAの耐性とSPHK1の発現レベルに有意の相関が認められた。代謝産物ではDA処理によりセラミド量の増加、スフィンゴシン1リン酸の減少がそれぞれのIC50レベルに応じて認められ、またSPHK阻害剤はDAと相加効果があることも明らかとなった。これにより造血系の細胞においてもSpiegelらの提唱するsphingolipidrheostat modelが当てはまることが明らかとなった。また、これらの結果はSPHK阻害剤がSPHK1高発現腫瘍細胞においてよい治療標的薬剤となることを示唆している。 2.神経芽細胞腫の検討では増殖刺激因子であるGDNFがSPHK1の発現を刺激することが明らかとなり、さらにGDNFの受容体であるRETの変異したMEN2A型の悪性腫瘍ではSPHK1の過剰発現を認め、それがその悪性化の原因の一部を担っていることをin vitroの実験により明らかにした。これらの結果もSPHK阻害剤の臨床的有用性を示唆するものである。
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Research Products
(12 results)