2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590539
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
五味 邦英 Showa University, 医学部, 教授 (60053980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陳 戈林 昭和大学, 医学部, 助教 (60266111)
福地 邦彦 昭和大学, 医学部, 教授 (70181287)
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Keywords | ゲノム型 / 薬剤耐性菌 / ESBL / 多剤耐性緑膿菌 / メタロβラクタマーゼ |
Research Abstract |
本年度は、院内感染原因菌の一つで、最近多剤耐性株の検出が目立つEnterobacter cloacaeの薬剤耐性機構を解析した。対象は、本院で2008年4月〜6月に分離されたE. cloacaeとし、metallo-ss-lactamase遺伝子およびESBLs遺伝子の解析を行った。検討期間中38株のE. cloacaeが同定され、そのうち35株が、CLSIに示されたbreak pointに基づいてcefotaximeのMIC値が≥32μg/ml, ceftadizime ≥16μg/ml値あるいはaztreonam ≥16μg/mlのいずれかを示した株を多剤耐性E. cloacaeと定義し耐性遺伝子解析検討の対象とした。この中で、imipenem耐性株は1999年度から2005年度までは1%以下と低率であったが、2006,2007年度は4%に増加していた。cefotaximeあるいはceftadizimeの耐性率は、1999年度から2007年度の期間で30%前後を推移しており、顕著な増加は認められなかった。このことから、BlaIMP遺伝子の侵淫が示唆される。metallo-β-lactamase産生能を確認するための、メルカプト酢酸ナトリウム抑制試験により陽性が5株、疑陽性が2株であった。陽性、疑陽性株のうち6株からIMP遺伝子が検出された。陽性の1株においては、これまでに我が国で分離のあるIMP gene、VIM geneいずれも検出されなかったことから、これ以外のmetallo-β-lactamaseを保有している可能性がある。ESBLs遺伝子では、CTX-M typeとSHV geneを検索したところ、5株からCTX-M type geneが検出され、SHV geneは検出されなかった。塩基配列を決定したところ、CTX-M3が3株、CTX-M14 geneが2株であった。このうち、CTX-M3を保有していた1株は、IMP-1遺伝子も保有していた。 E. cloacaeの薬剤耐性は、本来保有しているAmpC型β-lactamaseの高発現による多剤耐性化もあることから、耐性化機構の解析は複雑であるが、今回、metallo-β-lactamaseとESBLsの侵淫も明らかとなった。分子疫学を適用し耐性菌拡大防止を行う必要がある。
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