2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規内因性ジギタリス代謝エステラーゼの臨床検査医学的研究
Project/Area Number |
18590543
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
小宮山 豊 関西医科大学, 医学部, 講師 (40140264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 伯夫 関西医科大学, 医学部, 教授 (80094431)
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Keywords | 内因性ジギタリス / ブファディエノライド / エステラーゼ / 質量分析 / 組織カリクレイン / 腎臓 / 腎尿細管 |
Research Abstract |
本研究は、Na^+,K^+-ATPaseの生体内モジュレーターである内因性ジギタリス様物質の臨床検査学的解析の一環である。本研究の目的は、marinobufagin(MBG)および関連物質の相互変化に関与するブフォトキシン型EDLF分解酵素活性検出法を液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)で確立し、肝および腎などの臓器および血液中での活性分布を明らかにすること、および本酵素の金属イオン依存性など基本的性質を明らかにすることである。本年度はMBGのブフォトキシン型であるmarinobufotoxin(MBT)が培養副腎皮質細胞において分泌・産生され、その投与によりラット血圧が上昇することを世界で初めて示し論文および総説として発表した(11に掲載)。一方、MBTを基質に種々エステラーゼによる分解反応を検索した。具体的には、トリプシン、キモトリプシンなどのセリンプロテアーゼを中心に検索し、これらでは若干分解が進行するが、それほど大きな効果はなく、腎臓に分布する組織カリクレインや線溶系の主要酵素の一つであるウロキナーゼにMBT分解活性があることを、液体クロマトグラフィー・質量分析システムを用いてMBTからMBG生成を解析し明らかにした。さらに組織カリクレインが腎臓由来であることからラット腎臓のMBG様免疫活性の分布を特異抗体を用いた酵素免疫染色法で解析し、尿細管細胞表面に分布することを明らかにし、平成18年度日本臨床検査医学会学術集会にて発表し、座長推薦をうけるなど高い評価を得た。これらの成果は水・食塩代謝および血圧調節機構に大きな関与がある腎でのMBTによる調節機構に本研究で明らかにした組織カリクレインが関与している可能性を示唆し、極めて興味深いものであった。 カリクレイン類には上記組織カリクレインとは別に血液中に存在する血漿カリクレインが存在し、血中でカリクレイン・キニン系として役割を果たしていると考えられており、現在、この血漿カリクレインについて解析を進めている。
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Research Products
(3 results)