Research Abstract |
本年度は,碍られた抗血清の抗原特異性を詳細に鋼べた.1)Enzyme-Linked Immunosorbent Assay(ELISA)を用いた検討では,本抗体(抗血清)が,ブロモ化BSAや,クロロ化BSAや,ブロモチロシン,ジブロモチロシン,または,クロロチロシンを付加したBSAを認識することが分かった.しかし,ニトロチロシン,アミノチロシン,または,チロシンを付加したBSAに対する認識は弱かった.また,チロシンと構造が似ているヒドロキシベンソエートがクロロ化,または,ブロモ化した構造を,本抗体は認識しなかった.本抗体が認識するには,ハロゲン化とチロシン骨格が必要である.2)ブロモ化BSAを抗原とした競合的ELISAでは,ジブロモチロシンにのみ強い阻害効果が認められた.ブロモチロシンや,クロロチロシンや,ニトロチロシンや,アミノチロシンや,ホスホチロシンや,チロシンによる阻害は認められなかった.また,ジブロモチロシンは,本抗体によるジブロモチロシンを付加しだBSAの認識を阻害したが,クロロチロシンを付加したBSAの認識は阻害しなかった.これに対して,クロロチロシンは,ジブロモチロシンやクロロチロシンを付加したBSAの認識を阻害しなかった.本抗体は,ジブロモチロシンと強い親和性を持つ.3)免疫組織化学的検討では,ブロモ化されたラット好酸球が特異的に染色され,クロロ化やニトロ化を受けたラット好酸球は染色されなかった.以上の結果から,本抗体はハロゲン化チロシンを認識することが分かった.さらに,免疫組織化学では,ブロモ化した好酸球を特異的に染色することも分かり,好酸球活性化マーカーの解析に使用出来ることが示唆された.来年度は,本抗体の,動物モデルを用いたアレルギー疾患の解析やヒト血漿蛋白中ブロモチロシンの測定への応用を検討する.
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