2007 Fiscal Year Annual Research Report
喫煙の血管新生に対する影響-アリルハイドロカーボン受容体の役割の解明-
Project/Area Number |
18590553
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
市原 佐保子 Mie University, 生命科学研究支援センター, 助教 (20378326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 芳司 三重大学, 生命科学研究支援センター, 教授 (90333286)
室原 豊明 名古屋大学, 医学系研科, 教授 (90299503)
市原 学 名古屋大学, 医学系研科, 准教授 (90252238)
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Keywords | 喫煙 / アリルハイドロカーボン / 血管新生 / 低酸素 |
Research Abstract |
Ah受容体遺伝子欠損マウスを用いて,(1)虚血による低酸素ストレス下でのAh受容体の機能や発現調節機構の変化を解析し,(2)ベンツピレンによる血管新生に対する影響を検討した。その結果,Ah受容体が欠損すると,Ah受容体と2量体を形成するARNTが低酸素反応性因子であるHIF-1αとの2量体形成に移行し,血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の転写活性を高めることにより,血管新生を促進することを見出した(Ichihara Setal.Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.2007)。また,Ah受容体欠損マウスでは,ベンツピレン投与後のメタロチオネインの発現が減弱していることを米国心臓病学会(AHA)で発表した(Ichihara S et al.2007)。本研究では,低酸素ストレスやベンツピレン投与におけるAh受容体の発現調節機構を明らかにすることにより,喫煙が関与すると考えられる心血管系疾患の発症進展過程のメカニズムを解明することに寄与した。また,これまでベンツピレンの毒性機序として理解されてきたDNA付加物形成に加え,ベンツピレン暴露に起因するHIF-1αを介したVEGF転写活性の抑制という別の毒性機序も探求した点に学術的な特色がある。さらに,環境因子として,Ah受容体に結合する環境化学物質と生活習慣に関連する喫煙を同時に視野に入れたAh受容体を介する混合暴露として毒性を総合的に評価する点に本研究の意義がある。
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Research Products
(7 results)