2007 Fiscal Year Annual Research Report
旧石綿管製造工場周辺に集積した中皮腫症例の石綿曝露の検証と死亡リスク評価
Project/Area Number |
18590567
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
車谷 典男 Nara Medical University, 医学部, 教授 (10124877)
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Keywords | 石綿曝露 / 中皮腫 / 近隣曝露 / 死亡リスク / 病理診断 / 画像診断 |
Research Abstract |
(1)2年計画の最終年度である。ほぼ予定通りの研究が実施できた。 (2)申請者らは、尼崎市にあるクボタ旧石綿管製造工場近隣に非職業性の胸膜中皮腫患者の集積がみられることを死亡診断書により確認し、しかも患者の当時の居住地の分布は風向のシミュレーション結果よく一致することを見出している。しかし一方で、中皮腫の臨床診断は難しいとされ、誤診や疑診例が混じているとの指摘がよくなされる。そこで本研究は、診療情報開示により入手しえた診断根拠、画像の再読影、病理組織標本の再検査による中皮腫の診断精度の検討を目的として実施しているものである。 (3)旧石綿管工場付近に居住歴を持ち、中皮腫の診断書または剖検報告を有する者で、面接調査が終了した者は162名に達した。そのうち職業性石綿曝露が否定できた中皮腫患者は121名であった。 (4)胸部のCTが得られた40例の臨床的中皮腫症例につき、最も早い画像について3名の胸部を専門とする放射線科医により読影実験を行った。中皮腫疑い所見の確信度はdefiniteおよびprobable判定を陽性として2値化した場合79-89%(k=0.52-58)の一致度を示した。31-41例がprobable以上とされた。最も多い所見は縦隔側胸膜肥厚(79%)、次いで片側胸水(79%)、プラークは24%であった。 (5)35名の中皮組織の免疫染色を用いた病理組織診断の結果、1人を除き全て中皮腫と診断された。 (6)11名のホルマリン固定の肺組織については、石綿小体数の計測、一部、電顕による繊維組織の同定を行った。10名の石綿小体数はバックグランドよりも有意に高く,かつ職業性曝露で観察される小体数よりも有意に低い結果であった。 (7)上記の結果に基づいた過剰死亡の分析から、当該地域では、旧石綿管工場を中心に南南西方向では最大2,200mの、北北東方向では900mの範囲に中皮腫死亡の有意なリスク上昇があることを確認した。
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Research Products
(9 results)