2007 Fiscal Year Annual Research Report
アドレナリン受容体を介した免疫機能調節機構:ストレス関連疾患予防への応用
Project/Area Number |
18590571
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
木崎 節子 Kyorin University, 医学部, 准教授 (00322446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 秀樹 杏林大学, 医学部, 教授 (00133819)
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Keywords | 遺伝子 / シグナル伝達 / ストレス / 発現制御 / 免疫学 |
Research Abstract |
マクロファージ細胞株(RAW264)を用いて、微生物由来分子を認識し感染防御を行っているToll様受容体(TLR)とβ_2アドレナリン受容体(β_2AR)のクロストークを検討した。TLR4により認識される菌体外膜の主成分であるリポ多糖(lipopolysaccharide:LPS)の刺激にによってβ_2ARの発現が抑制された。TLR4の下流には少なくとも2つの情報伝達系(MyD88依存性とTRエF依存性)の存在が知られている。そこで、それぞれのsiRNAによりその発現をノックダウンしたRAW264細胞をLPS刺激し、β_2AR発現量変化を解析した結果、β_2AR発現抑制がTRIF依存性情報伝達系により制御されていることが示唆された。実際、TRIF依存性の情報伝達系を使うTLR3により認識されるポリイノシンポリシチジン酸(polyinosinic-polycytidylic acid:polyI:C)はβ_2ARの発現を抑制し、一方、MyD88依存性の情報伝達系を使うTLR9により認識される非メチル化CpGを含むDNA(CpG DNA)の刺激ではβ_2ARの発現は変化しなかった。昨年度、β_2ARの発現抑制はβ-arrestin2の発現抑制を伴っていて、β-arrestin2はIκBαの安定化と分解阻害を行うことによってNF-KBの活性化を調節していることを明らかにした。従って、TRIF依存性のβ_2ARとβ-arrestin 2の発現抑制により、TRIF依存性IKBaの分解とNF-κBの活性化が促進されると考えられる。さらに、β_2ARのアゴニスト刺激は、LPSまたはpolyI:Cに対する応答は抑制しないが、CpG DNAに対する応答を抑制した。即ち、TRエF依存性のβ_2ARとβ-arrestin 2の発現抑制は、ストレスなどによるβ_2-ARからの抗炎症性シグナルを回避する機構であることが推察された。
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