2006 Fiscal Year Annual Research Report
胎生期の低濃度の複合水銀曝露による神経行動毒性に対する加齢及び遺伝的要因の影響
Project/Area Number |
18590575
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hachinohe University |
Principal Investigator |
吉田 稔 八戸大学, 人間健康学部, 教授 (80081660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 知保 東京大学, 医学(系)・研究科, 教授 (70220902)
佐藤 雅彦 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (20256390)
金子 律子 東洋大学, 生命科学部, 教授 (00161183)
玉井 幸恵 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (30163661)
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Keywords | 水銀蒸気 / メチル水銀 / 複合曝露 / 妊娠マウス / メタロチオネイン / 行動異常 / 胎生期 |
Research Abstract |
本年度はメタロチオネイン遺伝子欠損マウス(以下、MT(-/-)マウスと略す)や野生型マウス(以下、MT(+/+)と略す)を用いて、胎生期における低濃度の水銀蒸気(Hg^0)、メチル水銀(MeHg)、そしてHg^0とMeHgの複合曝露(Hg^0+MeHg曝露)が、神経行動機能に及ぼす影響について検討した。実験はそれぞれの系の妊娠マウスを対照群、0.03mg/m^3Hg^0曝露群、5ppmMeHg投与群、そしてHg^0とMeHgの複合曝露(Hg^0+MeHg曝露)の4群に分け、妊娠期間中曝露を行った。出産12週後に行動試験(オープンフィールド試験、受動回避試験、モリス水迷路試験)を行った。胎生期にWHOが推奨したNOAEL(無影響量)0.025mg/m^3に近いHg^0曝露を受けた場合、MT(+/+)マウスでは、神経行動に対する影響は少ないが、MT(-/-)では行動影響が認められ、無機水銀に対し、MT(-/-)マウスは高感受性であることが明らかとなった。しかしながら、胎生期に5ppm MeHgの曝露を受けた場合、MT(+/+)マウスではOPF試験やモリス水迷路試験で行動影響が見られ、特に雄マウスでMeHgに対する感受性が高いことが判明した。また今回、Hg^0とMeHgによる複合曝露の影響を見たが、MT(+/+)マウス、MT(-/-)マウスともにHg^0曝露群やMeHg曝露群よりHg^0+MeHg複合曝露群により強い行動影響は認められず、本実験条件下では胎生期における水銀曝露の影響はHg^0曝露やMeHg曝露による影響が出現していた。なお出産10日目に測定した新生児の脳の水銀濃度は、MT(+/+)マウス、MT(-/-)マウスともに対照群に比べ、Hg^0曝露群では雌雄マウスともに僅かに高い値を示したが、MeHg曝露群とHg^0+MeHg曝露群は雌雄マウスとも100から400倍高値であった。しかし、MeHg曝露群とHg^0+MeHg曝露群の脳の水銀濃度はほぼ同じレベルにあった。
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Research Products
(6 results)