2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590576
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
高田 礼子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (30321897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 博 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (90081661)
網中 雅仁 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (30231997)
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Keywords | アスベスト / 廃棄物再資源化 / 発がん性評価 / 酸化的DNA損傷 / フォーステライト |
Research Abstract |
発がん性のある石綿の使用がほぼ全面禁止され、今後は石綿含有建材を用いた建物の解体により増加する石綿含有廃棄物の安全な非石綿化処理技術の開発と普及が緊急の課題である。しかし、これまでに、最も多く使用された石綿であるクリソタイルを非石綿化処理したフォーステライト、繊維状シリカゲルなどの石綿改質材料について、動物実験による信頼性の高い発がん性評価は行われていない。そこで、本研究では、石綿による肺がん・中皮腫の発がん過程で重要な酸化的DNA損傷のバイオマーカーである8-hydroxydeoxyguanosine(8-OHdG)に注目し、石綿改質材料について気管内注入試験を行い、クリソタイルと比較評価を行うことを目的とした。動物実験は、フォーステライトおよび未処理のクリソタイル試料(陽性対照)について、一定量の生理食塩水懸濁液をラット気管内単回注入した。陰性対照群には生理食塩水のみを注入した。注入後、高速液体クロマトグラフィー電気化学的検出器(HPLC-ECD)法による肺組織中の8-OHdG濃度の変化、免疫染色による8-OHdG発現の変化を経時的に検討し、病理検索結果と比較した。投与後6ヶ月まで解析した結果、陽性対照のクリソタイルでは細気管支炎などの病変および周囲の気道上皮や炎症細胞で8-OHdGの発現が認められ、肺組織中の8-OHdG濃度は投与後6ヶ月まで陰性対照に比べて有意に増加していた。一方、フォーステライトでは、炎症性変化がわずかで、8-OHdGの発現は一過性で弱く、肺組織中の8-OHdG濃度も陰性対照に比べて有意な増加はみられなかった。このことから、フォーステライトは発がん性のあるクリソタイルに比べて酸化的DNA損傷が一過性で軽度であることが示唆された。次年度は、他の酸化的DNA損傷マーカーを用いた検索、さらに繊維状シリカゲルについても同様に検討していく予定である。
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