2007 Fiscal Year Annual Research Report
セレニウム投与におけるがんの予防およびその機構解明に関する研究
Project/Area Number |
18590578
|
Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
山ノ下 理 Chubu University, 生命健康科学部, 講師 (50424924)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那須 民江 名古屋大学, 医学系研究所, 教授 (10020794)
|
Keywords | セレニウム / 悪性黒色種 |
Research Abstract |
セレニウムはいくつかのガンに対し予防効果を持つと考えられており、この効果が悪性黒色種(メラノーマ)の予防に対しても同様な効果が得られるか否か動物実験を用いて確かめた。 本研究において、メラノーマ自然発症モデルマウス(10週程度より腫瘍発生が認められる)に対し、37週間セレニウム化合物(Se-セレノメチルセレノシステイン)を投与した。結果、腫瘍発生初期においてセレニウム投与群の腫瘍発生率はコントロールに比較して発症率が高いものの、15週を経ると逆にセレニウム投与群の腫瘍発生率は低下した。また、一匹あたりの腫瘍体積に関してもセレニウムを4ppmの濃度で投与した場合、30週より顕著に体積の増加の遅滞が認められ、本研究で使用したセレニウム化合物は悪性黒色種の発生及び進展を抑制する事が示唆された。 さらに、この腫瘍発生及び進展の抑制がどのようなメカニズムで起こるか確かめる為に、「セレニウムががん抑制遺伝子等の発現調節領域の脱メチル化を起こさせ、これら遺伝子が発現することにより腫瘍発生及び進展が抑制される」という仮説をたてて、解析を試みた。 発生した腫瘍についてがん抑制遺伝子等の発現及びその調節領域のメチル化の違いを解析したところ、セレニウム投与群の腫瘍はがん抑制遺伝子等の発現が高く、調節領域のメチル化が低いという結果を得た。このことかち、セレニウムの悪性黒色種発生及び進展抑制のメカニズムとして、セレニウムががん抑制遺伝子等の調節領域の脱メチル化を引き起こし、がん抑制遺伝子等の発現を上昇させる事により腫瘍の発生及び進展の抑制が起こる可能性がある事が示唆された。
|
Research Products
(2 results)