2006 Fiscal Year Annual Research Report
新たな幼若期学習試験法によるダイオキシン・PCB類の発達神経毒性の解析
Project/Area Number |
18590581
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
北條 理恵子 独立行政法人国立環境研究所, 環境リスクセンター, NIESポスドクフェロー (60391158)
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Keywords | ラット / TCDD / PCB / トルエン / 幼若期 / 学習行動 |
Research Abstract |
本研究課題は、妊娠・授乳期のラットに対し、TCDD、PCBまたはその他の神経毒性を示す化学物質類を曝露し、その後に生まれた仔獣を対象にして学習・行動機能を幼若期から成獣まで継続して測定し、曝露の発達期の影響について検証することを目的としている。今まで幼若期における動物の学習機能がどのように発達するのかについてはほとんどわかっておらず、通常ヒトや動物の成獣を使った学習行動試験で認められる、連合学習のなどの複雑な学習機能が確立するのは発達段階のどの時期であるのかも未知のままである。そこで、本研究では幼若期から成獣まで同じ指標で測定可能な学習行動試験法の確立を試みている。また、仔獣と成獣の学習行動試験で活性化される脳の局在にも違いがあるのかどうかを検討する。 平成18年度は、ラットを被験動物とし、さまざまな時期(生後16日目から成獣期まで)に学習行動試験法を行った。その結果、仔獣の学習行動は日齢に依存して徐々に発達し、大体日齢30日までにはほぼ成獣と同様の成績に達するデータを得た。しかしながら、学習成績の結果のみでは本当に成獣と同様の学習行動様式あるいは同様の認知機能を備えたうえで行動が発現しているのかどうかが捉えきれないため、学習行動試験直後のラットの脳を採取して学習行動試験中に活性化している脳の局在を明確にすることを目的に現在組織学的な解析を進めている。また、神経毒性を示す化学物質の曝露においては、妊娠・授乳中のラットに対し、TCDD、PCBおよびトルエンを曝露し、その後に生まれた仔獣に対して生後50日目から60日目に学習行動試験を行った。その結果、妊娠・授乳中の母体曝露により、たとえごく微量の曝露であっても、生まれた仔獣の学習行動が長期にわたり損傷を受ける可能性が示唆された。
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