Research Abstract |
この研究は、生活習慣病予防事業が医療費の効率化に効果があるかどうかを無作為化比較研究で明らかにするものである。我々はすでに、F県U町の委託を受け、2003年度から生活習慣病予防事業を行っている。2003年度からフォローアップしている2003コホートは2002年度に町が実施した基本健康診査を受診した30歳から75歳の国民健康保険加入者のうち、健診結果において収縮期血圧が130〜159mmHg、拡張期血圧85〜99mmHg、ヘモグロビンAlc5.6%以上であった351名のうち、研究参加に同意した140名を対象とした。無作為抽出法により介入群(71名、男性23名、女性48名)、対照群(69名、男性31名、女性38名)に割り付けた。総医療費は介入前、介入中、介入後それぞれ、男性介入群が155,725円、156,973円、155,805円、女性介入群が156,371円、135,453円、168,262円、介入群全体が156,159円、142,519円、164,172円、高血圧予備群介入群では156,478円、148,706円、173,971円、糖尿病予備群介入群では169,968円、111,509円、144,015円であり、糖尿病予備群介入群で介入中の総医療費が介入前に比べて有意に減少していた。男性対照群では介入前、介入中、介入後がそれぞれ、185,852円、116,494円、234,755円、女性対照群がそれぞれ166,573円、224,838円、221,848円、対照群全体がそれぞれ175,234円、176,161円、227,647円、高血圧予備群対照群では169,683円、181,419円、228,395円、糖尿病予備群対照群では246,063円、162,688円、235,430円であり、男性対照群の介入中の入院医療費は介入前に比べて有意に減少していたが、介入後には介入中に比べて再び有意に増加していた。また、変化量の介入群と対照群との比較では、いずれの群においても有意差は認められなかった。
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