2007 Fiscal Year Annual Research Report
抗原性変異インフルエンザウイルス出現の早期発見の決め手
Project/Area Number |
18590617
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
中川 俊正 Osaka Medical College, 医学部, 准教授 (30237226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 直子 神戸市環境保健研究所, 微生物部, 副部長 (10280835)
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Keywords | インフルエンザウイルス / 抗原連続変異 / 融解温度曲線解 / ワクチン株と変異株の混在 |
Research Abstract |
我々は、B型インフルエンザウイルス抗原変異の解析方法研究成果をもとに、HA蛋白に対する特異的なエピトープの抗原変異部位を迅速に診断する方法を開発している。新しい色素LCGによる融解温度曲線法により簡便で迅速にウイルスの抗原変異が解析できることが分かった。解析精度を高めるために4種類のDNAポリメラーゼを用いて検討した結果、最適の酵素を使うことにより感度があがることが分かった。本解析法の特徴は、一塩基の変異が混在している状態が視覚的に識別できること、さらに混在比率が推定できることである。インフルエンザ流行シーズンにおいて臨床材料より分離されたインフルエンザワクチン株およびその変異株を本法で解析したところ、混在比率は1対3まで識別可能であった。インフルエンザ流行期に得られた分離株は多くの場合、一塩基しか変異しておらずそれがアミノ酸置換をともなっている場合が多い。モノクローナル抗体を用いた抗原変異株の解析で中和活性が変化したウイルス分離株を解析すると、ワクチン株と変異株がさまざまな割合で混在している可能性が高いことを報告してきたが、分離ウイルスはクローニングする過程で選択されることから臨床材料から分離直後のウイルスが混在しているかどうかを知るため、本解析法で過去の分離株を調べたところ混在が証明できた。これは流行期に特定の個人においてワクチン株と変異株が一定の時期に存在することを証明し、変異株がヒトの中で選択されてくる過程を観察していることを示している。B型インフルエンザウイルスはヒト以外の自然宿主はほとんど知られておらず、抗原連続変異は主にヒトの生体内で起こると考えられているため、本解析法によるワクチン株、変異株の混在解析法はインフルエンザHA蛋白の連続抗原変異の解明に重要な方法となるであろう。
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Research Products
(3 results)