2006 Fiscal Year Annual Research Report
要介護高齢者のニーズ分析に基づく口腔ケアシステム開発に関する研究
Project/Area Number |
18590622
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
三浦 宏子 九州保健福祉大学, 保健科学部, 教授 (10183625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
苅安 誠 九州保健福祉大学, 保健科学部, 助教授 (00320490)
山崎 きよ子 九州保健福祉大学, 社会福祉学部, 助教授 (20331150)
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Keywords | 要介護高齢者 / 口腔ケア / 誤嚥リスク / 日常生活機能 / 地域保健 / ニーズ分析 |
Research Abstract |
本研究の目的は、在宅の要介護高齢者におけるニーズアセスメントに基づく口腔ケアシステムの開発を行うことである。計画初年度である本年度では、今まで知見の集積が十分でなかった在宅要介護高齢者の誤嚥リスクを明らかにすることとともに、口腔清掃自立度や口腔ケアの実施状況を調べ、口腔ケアのニーズならびにサプライ評価を行った。対象者は宮崎県内に居住し、居宅介護保険サービスを利用している148組の在宅要介護高齢者とその家族介護者であった。誤嚥リスクの評価には、我々が開発して地域高齢者誤嚥リスク評価指標(DRACE)と水飲みテストを併用し、日常生活機能の評価にはADL20スコアを用いた。 その結果、在宅要介護高齢者の35.3%が誤嚥高リスク群と判定された。これらの誤嚥高リスク者は、低リスク者に比較して、有意に日常生活機能が低下しており、口腔内セルフケアが十分に出来ない者が多かった(P<0.05)。しかし、家族介護者や在宅介護による定期的な口腔ケアを受けている者は25%程度に過ぎず、口腔ケアニーズと供給状況の統計的一致度について、kappa統計量を用いて調べたところ、極めて低い値を示した。また、在宅での口腔ケア実施の影響要因を調べたところ、1日あたりの介護時間などの介護福祉的な要因であった。これらの知見より、在宅要介護高齢者においては、嚥下機能等の身体機能の低下に見合った口腔ケアが供給されていないことが明らかになった。また、誤嚥リスクを簡便に評価できるDRACEは、日常生活機能評価とともに、口腔ケアニーズ評価において極めて有用であることが示唆された。
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