2007 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児突然死における心筋疾患の描出とその診断基準の確立
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18590627
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
西田 尚樹 University of Toyama, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (10315088)
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Keywords | 乳幼児突然死 / 免疫染色 / 心筋疾患 / 心奇形 |
Research Abstract |
24例の乳幼児突然死剖検例につき、肉眼的、病理組織学的に詳細な検討を行った。24例の中21例において、心臓に何らかの異常が検出され、肥大型心筋症4例、ヴァルサルバ動脈瘤2例、心筋緻密化障害1例、心内臓弾性線維症3例ヽ粘液腫1例、総肺静脈還流異常1例、大動脈縮窄(高度に発達した助脈管を伴う)2例、リウマチ性心筋炎1例、サイトメガロ心筋炎1例、左冠状動脈口形成異常1例が検出された。また、房室伝導系においては、11例において、副伝導路となりうるaccessory connectionが検出された。これらの副伝導路に関しては、対照例9例において、connectionが検出されないことから不整脈の原因となりうる可能性が強く推察された。 従来乳幼児突然死の病因に関しては、中枢神経、呼吸器系の異常を示唆する報告が多数認められ、心臓疾患に関する検討、症例解析は極めて少ない。本研究からは、通常注視されていない心臓の局所解剖に留意して検討すると、死因となりうる重篤な奇形や疾病が、描出されることと明確にしたものと考えられる。特に、生直後に描出されてもよいような疾患が、明らかな前兆を見過ごされたまま加療を受けずに死亡する例も少なくない可能性が示唆された。房室伝導系の副伝導路は1才前後までは、局所のremodelingを続けているものと考えられ、一部でそのremodelingが遅れ、不整脈の発症に至る症例が存在する可能性が強く示唆された。
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