2006 Fiscal Year Annual Research Report
乱用薬物コカイン肝障害時の分子毒性解析ーノックアウトマウスを用いた研究
Project/Area Number |
18590630
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高安 達典 金沢大学, 医学系研究科, 助教授 (80154912)
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Keywords | コカイン / 肝障害 / N-アセチルシステイン / CarboxyPTIO / 過酸化物 / NO / ALT / フェノバルビタール |
Research Abstract |
マウスを用いた実験的コカイン肝障害モデルを作製し,その病態生理学的・分子毒性学的検討した。マウスはBALB/C雄を用い,前投与としてフェノバルビタール水(1mg/ml)を5日間給水後,コカイン(130mg/kg)を腹腔内投与した。前投与前,投与後0-48時間後に採血し,血清分離後,血清ALT値を測定した。コカイン投与10-48時間後に肝臓を摘出し,HE染色を施して病現組織像を観察した。コカイン投与量65及び30mg/kgについても同様観察した。コカイン投与30-120分後,N-アセチルシステイン(NAC,84mg/kg)やCarboxyPTIO(30mg/kg)を腹腔内投与し,その影響を観察した。コカイン(130mg/kg)を腹腔内投与したマウスのALT値はフェノバルビタール水給水前32,コカイン投与前67,10時間後13600,24時間後10600及び48時間後3920であり,著しいALT値の上昇が観察された。これら10-48時間後の肝組織HE像からは門派領域を中心とするマクロファージ,好中球など白血球の浸潤と,著明な肝細胞壊死像が観察された。コカイン投与量65mg/kgでは,ALT値が最高となる投与後10時間で130mg/kg投与時の21%であり,30mg/kg投与の場合は同10%と低く,明らかに用量依存性が認められた。また,NACをコカイン投与30分後に腹腔内投与したマウスのALT値は,10時間後(平均値8540)で未投与マウスのそれの63%に減少しており,過酸化物がコカインによる肝障害に関与していることが示唆された。更に,NOスカベンジヤーであるCarboxyPTIOを投与したマウスのALT値は,10時間後(平均値2700)で未投与マウスのそれの20%に減少しており,コカイン肝障害におけるNOの関与が示唆された。ノックアウトマウスを用いて実験中である。
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