2006 Fiscal Year Annual Research Report
消化管内ガス測定と大腸バロスタットを用いた過敏性腸症候群における腹部膨満感の評価
Project/Area Number |
18590650
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金澤 素 東北大学, 大学院医学系研究科, 助手 (70323003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福土 審 東北大学, 大学院医学系研究科, 教授 (80199249)
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Keywords | 過敏性腸症候群 / 腹部膨満感 / 消化管内ガス / 内臓知覚過敏 / QOL |
Research Abstract |
背景:腹痛・便通異常だけでなく、腹部膨満感の成因を明確にすることは、過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)患者の病態生理の解明あるいは冶療法の開発を進めていく上で有益であると考えられる。しかし、これまでIBS患者の腹部膨満症状が生物・心理・社会的にどのように影響しているかについて詳細に検討した報告はあまり知られていない。そこで平成18年度は、IBS患者は健常者と比較して腹部膨満感が重症でかつ内臓知覚過敏を示すという仮説を検証した。 方法:腹部手術歴、明らかな合併症がなく冶療歴のないIBS20例(女性10例、平均23歳)と健常者6例(女性2例、平均24才)を対象とした。なお、本研究計画は東北大学医学部倫理委員会で承認され、研究の遂行にあたっては研究参加者全員に十分な説明を行って文書で同意を得た。 腹痛、腹部不快感、腹部膨満感の重症度は7 pointのordinate scaleを用いて評価した。大腸知覚は、バロスタットを用いて直腸伸展刺激に対する痛み閾値を確立されたプロトコールに従って測定した。 結果:IBS患者は健常者に比較して腹痛、腹部不快感、腹部膨満感が有意に重症であった(すべてp<0.01)。一方、IBS患者は直腸伸展刺激に対する痛み閾値は健常者より有意に低下していた(33[16-40]vs.40[38-40]mmHg、p<0.01)。 考察:以上の結果からIBS患者は健常者と比較して主症状である腹痛、腹部不快感だけでなく腹部膨満感も重症であり、直腸伸展刺激に対して内臓知覚過敏であることが示された。 今後の研究の展開:我々は腹部膨満感を含むIBS患者に特異的な症状重症度尺度(IBS severity index:IBSSI)ならびにQOL尺度(IBS-QOL)日本語版を新たに開発し、その信頼性・妥当性を検証した。さらに、既報に基づいて腹部単純X線写真を用いて消化管内に占めるガス量の割合の測定方法を確立した。これらの評価法は、腹部膨満症状に対するさらに詳細な分析ツールになりうると思われる。
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Research Products
(6 results)