2008 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化予防のための糖尿病・高脂血症の患者効用値を考慮した治療判断における研究
Project/Area Number |
18590652
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小泉 順二 Kanazawa University, 附属病院, 教授 (20161846)
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Keywords | 治療判断 / 血糖コントロール / 医師の自信 / 医師への患者満足度 / 効用値 / 健康関連QOL |
Research Abstract |
石川県医師会員に対する糖尿病患者の血糖管理目標値のアンケート調査を、医師の専門性との関係でまとめてGeneral Medicineに発表した。血糖目標値の設定には個々の医師のこれまでに受けてきた専門教育の影響が示唆された。また、前年に行った内科個人診療所医師とそこに通院している糖尿病患者へのアンケート調査の結果の解析を進めた。アンケート調査の検討により、(1)医師の血糖コントロール目標と患者の血糖コントロールとの有意な関係が示された。(2)糖尿病に自信ありの医師の患者HbA1cは自信なしの医師より有意に低値であり、医師の自信の影響が認められた。(3)患者HbA1cと医師への患者満足度とには弱い負の相関傾向が認められた。(4)患者HbA1cの値と医師の治療決定への態度との有意な関係は見出せなかった。(5)薬物治療判断の際に考慮して欲しい項目では、患者と医師で差が認められた。(6)治療の決定に際して、患者からの希望を聞き判断していることが時々しか行われていない状況が示唆された。以上より、医師の血糖コントロール目標値設定を含めた態度は、患者の血糖コントロールに影響していることが示唆された。一方、治療判断の検討のための患者側の因子の検討が必要であり、効用値の測定と健康関連QOL測定の準備を進め、検討を開始した。患者自身のQOLをSF-36で測定し、患者の現在の健康状態についての効用値を評点尺度法および時間トレードオフ法で測定した。また、心筋梗塞患者のシナリオを用いての想定患者の効用値を同時に測定している。現在、解析できる症例数に達していないが、患者の年齢や性別、病状などと将来起こりうる疾患への効用値が本研究により検討できると期待している。治療判断には疾病の疫学的成績のみでなく患者や医師の行動科学的な要因も含めて考えなければならない。
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Research Products
(11 results)