2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590660
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Research Institution | Iwaki Meisei University |
Principal Investigator |
松本 司 Iwaki Meisei University, 薬学部, 准教授 (00173906)
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Keywords | 腸管免疫 / 粘膜免疫 / IgA / 多糖成分 |
Research Abstract |
漢方方剤の一つである補中益気湯は、臨床的に粘膜免疫系の賦活化作用を有することが示唆されており、各種感染症に対する生体防御の観点から注目されている。しかしながら、補中益気湯の粘膜免疫賦活化作用の詳細については明らかではない。分泌型IgA抗体は病原細菌の産生する毒素の中和作用や、異種抗原やウイルス、病原細菌の侵入の抑制作用を有し、粘膜における最も重要な防御因子の一つであることが知られている。抗原特異的分泌型IgA抗体産生に対する補中益気湯の影響について検討を行うとともに、腸管免疫系におけるIgA誘導組織であるパイエル板細胞の機能調節作用および粘膜免疫系を構築する共通粘膜免疫機構におけるリンパ球ホーミングの観点から末梢血リンパ球の機能に対する補中益気湯の調節作用について検討を行った。ポリ乳酸・グリコール酸共重合体を基材としてW/O/W型ダブルエマルジョンからの液中乾燥法により作製したOVA内包微粒子をOVA換算2mg/mouseの投与量で連日3日間経口投与し、さらに翌週より週2回の投与間隔で2週間投与した。補中益気湯は、OVAの経口感作1週間前より実験終了時まで経口投与した。OVA内包微粒子投与開始4週間後にマウスの腸洗液および鼻腔洗液を調製し、抗原特異的分泌型IgAをELISA法により測定した結果、OVA内包微粒子の経口投与により腸管および鼻腔において抗OVA IgA抗体の産生が観察され、補中益気湯の投与は本IgA抗体の産生を増強した。分泌型IgAの低下に代表される粘膜免疫機能の低下が、高齢者における易感染性の一因と考えられていることから、今回明らかとなった補中益気湯の分泌型IgA産生促進作用が臨床における本処方の薬効に関与する可能性が示唆された。さらに、その機序として補中益気湯エキスの腸上皮細胞およびパイエル板細胞に対する調節作用が関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)