2007 Fiscal Year Annual Research Report
疼痛における情動処理-特にアレキシサイミアにおける脳機能画像手法を用いて-
Project/Area Number |
18590662
|
Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
守口 善也 National Center of Neurology and Psychiatry, 精神保健研究所・心身医学研究部, 協力研究員 (40392477)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小牧 元 国立精神・神経センター, 部長 (70225564)
|
Keywords | アレキシサイミア / 疼痛 / 背外側前頭前野 / 前帯状回 / fMRI / 淡蒼球 / 扁桃体 |
Research Abstract |
19年度の本研究は、疼痛に関する情動処理にに対する心理的な要素による修飾に関する脳機能画像研究を行った。心身症においては、negativeな情動を増幅させてしまうことで、さまざまな症状につながってしまうことが考えられる。特に、痛みストレスは主観的体験であり、心理的因子によって左右されることが知られている。そして、心身症としての慢性疼痛疾患においては、この心理的因子が疾患の遷延に関わっていると考えられる。今回は、より直接的な情動ストレスとしての痛みを使用し、同じ電流を流しても予期不安が高いときと低いときの脳活動を比べることにより、痛みストレスの増幅に関わる神経学的背景を、ヒトを対象とした脳機能画像(機能的磁気共鳴画像:fMRI)を用いて検討した。その結果、(1)痛み刺激に対する主観的評価得点は、予期不安が高い時の方が同じ電流でも有意に高かった。(2)脳機能画像では、痛み刺激に対しては、いわゆるpain matrixを描出できており、その脳活動は、実際の電流(mA)より主観的なratingとの方が、より広範な範囲で相関が認められ、痛み体験がより主観的な体験であることを示した。(3)予期不安が高い方が淡蒼球〜海馬〜扁桃体、及び島前部のより情動的なプロセスに関する脳活動が亢進しており、痛みに対する心理的なmodulationが、大脳基底核〜辺縁系を中心とした領域においてみられた。 従来行われていたheat painを用いた実験系を、病院などで一般の臨床で用いられている機器を用いて、電気的痛み刺激にても施行できるように確立した。今後の心身症研究への重要な布石となると思われた。
|
Research Products
(5 results)