2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590664
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩切 大 Hokkaido University, 遺伝子病制御研究所, 助教 (10307853)
|
Keywords | EBウイルス / 胃がん / EBER / RIG-I / TLR3 / 自然免疫 |
Research Abstract |
我々のこれまでの研究で、EBウイルスが胃上皮細胞に感染すると、Insulin-like growth factor(IGF)-1の発現が誘導され、そのオートクライン作用により感染細胞の増殖が促進されるということ、またIGF-1の発現誘導の責任遺伝子はウイルスの小RNAであるEBERであることが明らかになった。さらにEBERによるIGF-1の発現誘導がいかにしておこるかを解明し、結果EBウイルスによる胃がんの発生のメカニズムを明らかにすることを目的とし本研究をおこなっている。その後の研究で我々は、EBERがバーキットリンパ腫(BL)細胞において、細胞内のdsRNA認識分子であるRetinoic acid-inducible gene(RIG)-Iと相互作用しこれを活性化、下流分子であるIRF-3およびNF-κBの活性化を介しインターフェロン発現を誘導することを明らかにした。さらに本研究で、EBERによるRIG-Iの活性化によりBL細胞の増殖因子であるIL-10の産生誘導がおこっていること、それはNF-κBの活性化ではなくIRF-3の活性化を介しておこることを明らかにした。このことは、EBERによる自然免疫シグナル活性化がEBウイルス感染がん細胞の増殖促進に寄与していること示す新しい知見である。一方我々は、EBERがEBウイルス感染細胞より細胞外に放出されること、さらに放出されたEBERはToll-like receptor(TLR)3を介したシグナル伝達を惹起することも明らかにした。TLR3シグナルの活性化がEBウイルス陽性胃がん細胞においておこっていると考えられ、それがEBERによるIGF-1産生誘導に関与していると推測され現在詳細な解析を行なっている。
|
Research Products
(3 results)