2006 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸疾患におけるマクロファージ遊走阻止因子の機能解明と新規治療法の開発
Project/Area Number |
18590665
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大川原 辰也 北海道大学, 大学院医学研究科, 客員研究員 (00374257)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / マクロファージ遊走阻止因子 / デキストラン硫酸誘導大腸炎 / MIF DNAワクチン / 熱ショックタンパク |
Research Abstract |
マクロファージ遊走阻止因子(MIF)は活性Tリンパ球より分泌され遅延型アレルギー反応など細胞性免疫に関与する液性因子として発見され,様々な炎症性疾患でMIFの発現が増強し病態の増悪に関与する因子である.炎症性腸疾患におけるMIFの役割も徐々に証明されてきており,病態形成において重要な役割を持ち、また治療のターゲットとして注目されている。マウスモデル腸炎においては抗MIF抗体投与による炎症の抑制が確認され,MIF活性阻害による治療がヒトでも期待されている。本研究課題は、MIFノックアウトマウスにおける腸炎発症の解析およびMIFのin vitroでの機能を検討し,さらにTヘルパーエピトープMIF-DNAワクチンなど新規治療法を開発することを目的としていた。 MIFノックアウトマウスにおいてデキストラン硫酸誘導大腸炎モデル(DSS腸炎モデル)が殆ど発症せず、その機序として1)TNF-αなどの炎症性サイトカイン産生の抑制、2)防御系因子で抗炎症作用も持つ熱ショックタンパク(Heat shock protein ; HSP)が誘導されることを解明した(Ohkawara et al. Immunol Lett,2006).さらに3)大腸粘膜への好中球やマクロファージの誘導を抑制、4)大腸粘膜のケモカイン産生の抑制も関与することも解明した(論文投稿中).In vitroによる検証では潰瘍性大腸炎患者のステロイド治療抵抗性にMIFが関与していることも解明した(Ishiguro, Ohkawara et al. Clin Immunol,2006).さらにThエピトープMIFDNAワクチンによるDSS腸炎モデルでの炎症抑制効果が組織学的、臨床所見、ケモカインおよび接着分子発現亢進の抑制により確認された(論文投稿中).本研究により、腸炎におけるMIFの役割解明や治療応用開発は着実に進行していると考えられる。
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Research Products
(2 results)