2006 Fiscal Year Annual Research Report
OCTNによる腸内細菌産物の輸送,腸管ホメオスターシス維持及び炎症制御機構の解明
Project/Area Number |
18590667
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
藤谷 幹浩 旭川医科大学, 医学部, 助手 (80322915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高後 裕 旭川医科大学, 医学部, 助手 (10133183)
前本 篤男 旭川医科大学, 医学部, 特任講師 (40400113)
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Keywords | Organic Cation Transporters / 腸内細菌 / プロバイオティクス / 細胞膜トランスポーター / Heat shock protein / 宿主-細菌相互作用 |
Research Abstract |
我々は平成18年度の研究から,ヒトおよびマウス腸管上皮細胞に発現しているNovel Organic Cation Transporters(OCTNs)蛋白が,代表的なプロバイオティクスであるLactobacillus菌やBacillus菌の培養液中のペプチド成分を細胞内へと輸送し,Heat-shock proteinを誘導すること,酸化ストレスに対する細胞保護作用を発揮することを,OCTN2遺伝子導入細胞,あるいはsiRNAによる発現抑制細胞を用いて明らかにした.さらに,これら腸内細菌の培養上清の解析から,強い腸管保護作用を持つ2種類の細菌産生ペプチドを同定することに成功した.これらの成果から,腸管上皮細胞は,OCTNsなどの細胞膜トランスポーターを通して細菌産生物質を吸収することで腸内環境を認識し,それに応じて細胞防御機構の活性化などにより細胞態度を変化させ,腸管のホメオスターシスを維持する、という全く新しい宿主-腸内細菌間の応答機構の存在が示唆された.また,炎症性腸疾患患者ではOCTNsの遺伝子多型があるため,このpathwayに障害をもたらし,腸管における細胞防御機構の脆弱化,あるいは異常免疫応答を引き起こして,難治性の炎症を惹起するものと推測している.さらに,本研究で同定した2種類のペプチドを,クローン病や潰瘍性大腸炎をはじめとする腸管炎症に対する新しい治療薬剤として臨床応用すべく,in vitroおよびin vivoの炎症モデルを用いて,抗炎症作用の確認を行っている.尚,本研究成果の一部は,英文誌Cell ; Host and Microbesに掲載予定である.
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