2007 Fiscal Year Annual Research Report
p53細胞内局在の変化による消化器がんの抗がん剤感受性変化に関する研究
Project/Area Number |
18590668
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 俊介 Tohoku University, 病院, 講師 (40312657)
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Keywords | p53 / 安定発現系 / 抗がん剤感受性 / 細胞内局在 |
Research Abstract |
様々な特性を持つp53ミスセンス変異体5種類(RNA polymerase IIとの結合ができないため転写活性化能を喪失しているL22Q+W23S,アポトーシスに関与する遺伝子群の転写活性化能が欠失しているS46A,野生型よりもアポトーシス誘導能が強いS121F、H214Q、ヒト腫瘍で多く観察されるいわゆるホットスポット変異R175H)と、細胞質内への移行が阻止されるR306G、さらに前述の各変異体とR306Gとの二重変異体5種類、さらにコントロールとして野生型p53と発現カセットのみを加えた、計13種類のp53変異体発現カセットを作成し、テトラサイクリン存在下で安定発現株を樹立し、p53分子の細胞内局在の変化が、アポトーシス誘導能、下流遺伝子に対する転写活性化能、抗がん剤感受性などにどのような影響を及ぼすか解析を行った。 その結果、p53の細胞内局在はR306Gの変異により一義的に規定されることが判明した。また、アポトーシス誘導能については、S121F変異体は細胞質に局在してもアポトーシス誘導能を保持することが判明した。RT-PCR法を用いて下流遺伝子の発現パターンを解析したところ、p53が細胞質に局在する場合であっても下流遺伝子の発現が一定程度見られること、下流遺伝子発現プロファイルはS121Fが細胞外にあっても類似していることが判明し、Sl21F変異によるアポトーシス誘導能については転写依存性メカニズムが関与していることも示唆された。今回の結果より、野生型p53が細胞質に局在していることがしばしば観察される乳がんあるいは神経芽細胞腫であっても、p53機能は完全消失しているものではなく、下流遺伝子発現プロファイルをS121Fパターンに類似させることができるような小分子の開発により、新たながん治療の可能性も考えられた。上記内容の論文を現在投稿準備中である。
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Research Products
(1 results)