2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクター・ピロリにおける胃粘膜上皮細胞増殖因子の探究
Project/Area Number |
18590673
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
山崎 幸直 University of Fukui, 医学部附属病院, 助教授 (10293416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須藤 弘之 福井大学, 医学部附属病院, 助手 (50345683)
伊藤 義幸 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (60313748)
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Keywords | H.pylori / cagPAI / 増殖因子 |
Research Abstract |
【目的】本研究では、H.pyloriの外来性遺伝子群cagPAIにコードされる病原因子CagAと、それらの輸送に関わるIV型分泌装置構成タンパク質CagYの役割に焦点を絞り、胃粘膜上皮細胞増殖因子の探究を目的とし、細胞の形質的・生化学的変化の確認を行った。 【方法】液体培養2、6、12及び18時間後のH.pylori野生株、cagYノックアウト変異株(ΔcagY)、cagAノックアウト変異株(ΔcagA)を用いて、抗生物質(-)を16及び18時間、FCS(-)を2、5、6及び16時間に条件を変えて培養したヒト胃上皮細胞由来AGS細胞へ感染させ、細胞の形態変化を検討した。また、それぞれの菌体CagAを免疫染色し、定性的解析を行った。 【結果】いずれの条件の感染実験でも、野生株感染のAGS細胞に伸長形態変化が認められた。中でも、18時間培養の野生株を抗生物質(-)18時間・FCS(-)2時間培地で培養した細胞に感染させると、4〜6時間後に細胞の著しい伸長形態変化(ハミングバード様)が確認できた。しかし、同じ条件でのΔcagY感染では、細胞のハミングバードは観察されず未感染コントロール細胞との違いは確認できなかった。ところが、ΔcagA感染では、一部の細胞に伸長形態変化が確認できた。他方、野性株、ΔcagY、ΔcagAの菌体内CagA免疫染色像から、ΔcagYのCagAに低分子化が認められている。 【結論】IV型分泌機構の構成タンパク質CagYをノックアウトしたΔcagY感染実験でAGS細胞の有意な形態変化がないにもかかわらず、病原性毒素CagAのノックアウト株・ΔcagAで、弱いながらも有意な形態変化が観察されたことは、CagYの新たな機能を解明する上で重要な知見が得られた。また、ΔcagYでCagAの低分子化が認められたことから、CagYの新機能解明の手がかりが得られた。
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Research Products
(1 results)