2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクター・ピロリにおける胃粘膜上皮細胞増殖因子の探究
Project/Area Number |
18590673
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
山崎 幸直 University of Fukui, 医学部附属病院, 准教授 (10293416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須藤 弘之 福井大学, 医学部附属病院, 助教 (50345683)
伊藤 義幸 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (60313748)
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Keywords | H.pylori / cagPAI / 感染症 |
Research Abstract |
【研究の目的】本研究は、Helicobacter pylori(ピロリ菌)の外来性遺伝子群cagPAIにコードされる病原因子CagAと、それらの輸送に関わるIV型分泌装置構成タンパク質CagYの役割に焦点を絞り、胃粘膜上皮細胞増殖因子を探究するため、前年度の研究によりcagY遺伝子ノックアウト変異株(ΔcagY)でCagAタンパク(CagA)の低分子化が示唆されたことから、本年度はCagAの低分子化について再確認をするとともに、CagYタンパク(CagY)の細胞内発現と局在の検討を目的とした。 【研究実施計画】 1.CagAの低分子化についての再確認をする。 2.蛍光タンパク発現ベクターによるCagYの細胞内発現と局在を検討する。 【研究成果】CagAの低分子化について再確認をするために作製を試みた他の臨床分離株のΔcagYΔcagAは形質転換体作製途中で目的外の遺伝子変異が入ってしまい、完全な変異株の作製には至らなかった。そこで、既存の野生株とそのΔcagY、ΔcagAについて、DNA鑑定などで応用され複数のプライマーによって確認可能なRAPD-PCR法を試みた。その結果、同株の変異体と確認でき、さらにそれぞれのCagA免疫染色像から、再度、CagAに低分子化現象が認められた。これらのことからCagAの分子量はCagYタンパクに依存することが示唆され、CagYは病原因子CagAに働きかける重要な役割を持つタンパク質としての新しい知見となる成果が得られた。一方、CagYの細胞内発現と局在を検討するために蛍光タンパク発現ベクターへの導入を繰り返し試みたが発現には至らなかった。今後、過去の遺伝子解析データを含む本研究結果をもとに抗CagY抗体を作製し、ピロリ菌感染後のAGS細胞におけるCagA・CagYの局在を確認し、胃粘膜上皮細胞増殖因子としての関連について考察していきたいと考える。
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