2007 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化炭素(CO)ガス吸入・曝露装置の開発と実験腸炎におけるその有用性
Project/Area Number |
18590694
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
高木 智久 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学部, 講師(寄附講座) (70405257)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 敏一 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (90158410)
内藤 裕二 京都府立医科大学, 医学部, 准教授(寄附講座) (00305575)
吉田 憲正 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (30166962)
古倉 聡 京都府立医科大学, 医学部, 准教授(寄附講座) (80347442)
|
Keywords | 一酸化炭素 / 炎症性腸疾患 / 潰瘍性大腸炎 / クローン病 / 関節炎 / 抗炎症效果 |
Research Abstract |
ヒト炎症性腸疾患患者(潰瘍性大腸炎・クローン病)をはじめとした炎症性疾患に対する革新的な新規治療法の開発の試みとして一酸化炭素ガス(Carbon monoxide:CO)吸入曝露装置の開発、ならびに同装置を用いたCOガス吸入療法の効果の検討をマウス実験腸炎モデルに対して行った。CO吸入曝露装置の開発は前年度に完成しており、今年度はCOガスによる抗炎症効果を検証した。 1, CO曝露装置を用いて腸炎モデルではないものの、代表的な炎症モデルであるマウス関節炎モデルを用いてCOガス吸入の効果を検証した。その結果、COガスの吸入により有意に関節炎の発症が抑制された。このことより、COは下記に示すような腸管炎症だけでなく関節炎においても充分に抗炎症効果を発揮するものと考えられた。 2, マウス実験腸炎モデルとしてTrinitrobenzesulfonic acid(TNBS)腸炎モデルを用いた。その結果、COガス曝露群では非曝露群に対して有意に病変の形成が抑制されていた。また、大腸粘膜内の好中球浸潤や炎症性サイトカイン産生もCOガス曝露群にて有意に改善を認めており、COガス曝露による抗炎症効果が確認された。 以上の検討から、様々な炎症モデルにおけるCOガス曝露による抗炎症効果が証明された。COの抗炎症効果は確固たるものであるが、COガス吸入法は臨床応用を目標にした際には、その毒性に問題があると言わざるをえず、より安全なCOガス投与方法の開拓が必要であり、その一つとして注腸投与の検討を開始するに至っている。また、COによるこの抗炎症効果の詳細な分子メカニズムは未だ不明の部分が多く、その作用機序に関しても引き続き検討中である。
|