2006 Fiscal Year Annual Research Report
アラキドン酸代謝からみたバレット食道・腺癌発生過程の分子機構の解明
Project/Area Number |
18590696
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
藤原 靖弘 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (40285292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 和秀 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (20218697)
富永 和作 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (80336768)
渡辺 俊雄 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (50336773)
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Keywords | 癌 / 細胞・組織 / 発現抑制 / 発生・分化 / 生理活性 |
Research Abstract |
パレット食道は持続的な胃内容物の逆流により食道重層扁平上皮が円柱上皮化生化した状態であり、食道腺癌の発生母地として重要である。近年パレット食道および腺癌発生過程においてアラキドン酸代謝産物が増加し、特にCOX-2発現増加が癌化に重要な役割を担っていることが報告されてきた。しかしながら、パレット食道〜食道腺癌発生過程におけるアラキドン酸代謝の関与は充分に解明されていない。パレット食道および腺癌発生マウスモデルを樹立し、アラキドン酸代謝産物、合成経路、受容体の発現動態、特にCOX-2,PGES, PGE2,EP経路を中心に検討する目的で検討を行った。 パレット食道・腺癌発生マウスモデルを樹立するため、1)胃全摘出、十二指腸一食道吻合、2)空腸-食道側々吻合、3)前胃切除、空腸-食道吻合を作成し、N-methyl-N-benxylnitrosamineを週1回投与する群を加えて、外科的処置後20週から40週までに屠殺し、肉眼的、組織学的にパレット食道や食道腺癌発生の有無を検討した。上記のマウスモデル作成においては高度な技術を要することから、生存率は極めて低かった。術後数日間の生存率はある程度向上したものの、長期的な生存率は充分ではなかった。これらの原因としては手技的問題とマウス個体自体の問題が含まれていることが考察される。20週時点での作成モデルにおいては、肉眼的に通常の食道上皮とは異なる病変が観察された。組織学的には上皮の過形成を伴う高度の粘膜層の肥厚と炎症性細胞浸潤が観察され、アラキドン酸代謝産物、特にPGE2の増加が認められた。またPGE2合成経路では、COX-2およびmPGES-1の発現増加が認められた。またPGE 2受容体ではEP4の発現が亢進していた。
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