2006 Fiscal Year Annual Research Report
知覚神経カルシトニン遺伝子関連ペプチドの胃粘膜恒常性維持と障害修復における役割
Project/Area Number |
18590699
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
大野 隆 北里大学, 医学部, 非常勤講師 (60185345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬嶋 正隆 北里大学, 医学部, 教授 (70181641)
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Keywords | 血管新生 / 潰瘍 / 微小循環 / CGRP / エタノール / カプサイシン / VEGF / CD31 |
Research Abstract |
エタノール誘発胃粘膜障害に対する知覚神経由来のCGRPの保護作用: 胃内腔液のCGRP遊離量を測定しつつ胃粘膜傷害を評価した。50%エタノールを胃内に暴露すると約20%の腺胃に発赤(粘膜血流のうっ血に起因する障害)を認め、カプサイシンでその抑制が見られるが、ア)CGRPノックアウトマウス、イ)CGRPアンタゴニスト、ウ)化学的除神経(新生児時期にカプサシイシン皮下投与)、エ)胃支配知覚神経後根選択的切除で障害抑制が解除された。野生型マウスでは、野生型に比べ、内因性のPGE2及びPGI2の増加が見られ、PGI2受容体ノックアウトマウスでは、還流液中のCGRP遊離量が減少していた。 マイルドイリタント(1M NaCl)の前投与でも、カプサイシン同様のエタノールに対する保護作用が、野生型マウスでは見られる。CGRPノックアウトマウスでは、野生型で見られるCGRPの放出遊離が完全に消失し、1M NaClによっても保護作用が見られなかった。 以上の成績は、胃粘膜基底部微小循環観察法でも確認できた。エタノールは同部の微小循環で、集合細静脈および細静脈の収縮をもたらし、胃粘膜の発赤が生じる。この収縮反応は、CGRPを観察窓に局所投与することにより抑制された。カプサイシン、マイルドイリタント(1M NaCl)の粘膜面への前投与でも、集合細静脈および細静脈の収縮は抑制された。さらに、この抑制効果はCGRP拮抗薬のCGRP(8-37)で完全に消失した。
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