2006 Fiscal Year Annual Research Report
クローン病における抑制性腸管マクロファージの分化・機能異常の解析
Project/Area Number |
18590700
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
久松 理一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60255437)
|
Keywords | 腸管マクロファージ / クローン病 / 腸内細菌 / M-CSF / 炎症性サイトカイン |
Research Abstract |
我々は腸管マクロファージ(Mφ)の腸管恒常性の維持と腸炎発症における役割について研究を進めており、正常マウス腸管MφはM-CSFでin vitro分化誘導されるMφに機能が類似しており、細菌貪食能を有しTNFαやIL-6を産生するがTh1誘導性のIL-12やIL-23を産生せず、むしろ抑制性サイトカインIL-10を高産生するタイプであること、この分化誘導には内因性IL-10が必要であることを報告した。すなわち腸管MφはTh1型adaptive immunityへの過剰なシフトを抑制する抑制性Mφの一面を有していた。さらにTh1型腸炎自然発症モデルマウスであるIL-10 KO miceを解析した結果から同miceでは骨髄単球由来M-CSF誘導性Mφや腸管Mφに分化異常が起こり細菌認識によりIL-12とIL-23を異常産生しTh1型免疫反応が誘導されることが明らかとなった(Kamada N, Hisamatsu T, et al.J.Immunol 2005)。さらに腸管Mφの機能をヒトCrohn病(CD)で解析することにより同疾患の病態形成における抑制性腸管Mφの機能異常の関与を明らかにし、発症機序における腸内細菌認識の制御異常の解明を目指した。ヒトCD患者の一部では末梢血からのM-CSFによるMφへの分化が障害されていることが判明し、内因性IL-10の産生低下によるものと考えられた。しかしながら、この現象は全てのCD病患者に認められたわけではなかった。そこで我々は腸管局所Mφの機能がIL-10 KO miceと同様にCD患者で変化していると考え腸管マクロファージの機能解析を行った。まず、CD腸管粘膜ではCD14+CD33+の単球由来細胞の分画比率の増加を認め、この細胞群は単離培養すると紡錘形CD68+の付着細胞、すなわちMφと考えられた。CD患者手術標本より単離されたこの腸管Mφはコントロール(大腸癌患者非癌部)、潰瘍性大腸炎患者と比較しE..coli、E.feacalis刺激に対して高濃度のIL-12とIL-23を産生した。現在、このメカニズムについて解析中であるが、IL-10低産生の患者のように元々の単球系細胞自身に素因をもつ場合と、局所のサイトカインによりMφが分化段階で影響を受ける可能性が示唆されつつある。すなわち、CD患者においても結果的に腸管局所Mφが機能的分化異常を起こした結果、腸内細菌に対する過剰応答がおこり病態が形成されていることが考えられる。
|
Research Products
(5 results)