2007 Fiscal Year Annual Research Report
胃粘膜分化増殖と糖脂質代謝における胃酸の生理的役割の解明
Project/Area Number |
18590703
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
斉藤 寿仁 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 准教授 (50246609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 洋子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (20307606)
高橋 春樹 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (00246612)
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Keywords | 胃酸分泌 / pHモニタリング / マウスモデル / 酸センサー |
Research Abstract |
我々はヒスタミンH2受容体を中心に胃粘膜および胃酸分泌機構の研究から同受容体欠損マウスおよびガストリン受容体欠損マウスとの掛け合わせにより両受容体の欠損したダブル欠損マウスを作成した。 ヒスタミンH2受容体欠損及びガストリン受容体欠損のダブル欠損マウスと受容体欠損のない野生型マウスにおける糖代謝・脂質代謝を比較検討した。ダブル欠損マウスの場合では、胃酸分泌低下が起こり、胃内pHは常に高値であり、胃粘膜の構造の変化が起こった。野生型マウスとダブル欠損マウスの間には生存期間に差異を認めず、同一カロリーの飼料で飼育すると、野生型マウスに比べダブル欠損マウスの方が体重が増加し、肥満傾向を呈し、栄養状態が良好に保たれた。胃内pHの上昇(胃酸酸度の低下)や胃粘膜構造の変化と栄養吸収や糖脂質代謝能との間には密接に関連し合うことが示唆された。 体重・血糖値・血中脂質濃度について野生型マウスとダブル欠損マウスとの間で比較したところ、各値ともダブル欠損マウスで高値を呈した。また、筋・肝・脂肪細胞での肥大に関連するPI3キナーゼ活性を測定したところ、ダブル欠損マウスは野生型マウスに比べ若干の高値を呈した。 胃内の酸分泌能の強弱により、胃内酸度の高低がおこり、逆流性食道炎、消化性胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの酸関連疾患の発症に密接に関連し合うことがよく知られているが、胃内酸度の高低は、一般的に認められている消化吸収作用への影響のみならず生体の代謝にも関係することが示唆された。
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