2006 Fiscal Year Annual Research Report
大腸がん初期病変の発生機序の解明ーヒトde novo癌初期病変の解明に向けて
Project/Area Number |
18590710
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
落合 雅子 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 生化学部, 主任研究官 (90150200)
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Keywords | aberrant crypt foci / 大腸がん初期病変 / de novo癌 |
Research Abstract |
ラット大腸発がんモデルを用いて、ACF-D(II)(正常腺管と同程度もしくは小さな腺管で構成され、従来の染色法では検出困難な異型病変)の発生機序を明らかにし、de novo癌の初期病変のモデルとなりうるかを検討し、de novo癌の初期病変の性質を解明することを目的とする。ACF-D(II)は、β-catenineが核に蓄積し、mucinの喪失が認められ、異型度が高く、Paneth細胞が認められることも多い病変である。本年度は、下記の点について検討した。 1.ラットACF-D(II)の発生機序の遺伝子特異的な検討 Mucinの喪失が認められることから、大腸の粘液の主成分であるMuc2蛋白について免疫組織学的に検討した。mucinの喪失が認められたACF-D(II)5例では、いずれもMuc2蛋白が喪失していたが、Muc5AC蛋白(胃の粘液に主として発現)の異所性の発現は認められなかった。また、.Muc2プロモーターを介してMuc2遺伝子発現を活性化するCdx2に関して検討した。Cdx2蛋白に関して免疫組織学的に調べたが、周囲の正常組織との差は認められなかった。ACF-D(I)(従来のACFに属する異型病変)に関しても同様の傾向が認められた。更に、例数を増やして検討し、また、腺管構造制御機構に関与する他のシグナル伝達系に関しても解析する。 2.ラットACF-D(II)の発生機序のゲノム網羅的な検討 AOMにより誘発された大腸腫瘍3例に関してラット185Kアレイを用いたaCGHにより、ゲノム網羅的にコピー数の変化を解析したが、連続した複数のプローブが変化しているような大きな変化は認められなかった(阿部他、第65回日本癌学会学術総会)。大腸腫瘍で、変化が認められなかったことにより、前がん病変であるACF-D(II)でも大きなコピー一数の変化はないと予想された。
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