2007 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス応答キナーゼp38MAPKを標的とした癌治療と抗癌剤耐性回避への応用
Project/Area Number |
18590711
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
丹野 誠志 Asahikawa Medical College, 医学部, 准教授 (30333686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 利勝 旭川医科大学, 医学部, 教授 (60281903)
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Keywords | 消化器癌 / 膵癌 / p38MAPK / 抗癌剤 / ゲムシタビン / 抗癌剤耐性 / アポトーシス / EGFレセプター |
Research Abstract |
我々はこれまで、ストレス応答キナーゼであるp38MAPキナーゼを介する経路の活性化は、抗癌剤による細胞の損傷をアポトーシスシグナルへと変換し、アポトーシス誘導過程において重要であることを明らかにしてきた。特に、消化器癌の中で最も難治癌で予後不良の膵癌と、その第一選択薬である抗癌剤ゲムシタビン(GEM)に注目し、p38MAPKが膵癌細胞のGEM誘導アポトーシスにどのように関わっているのか検討し、その重要性について報告してきた。すなわち、GEM曝露によってヒト膵癌細胞株ではp38MAPKが活性化されること、Caspase経路の活性化にp38MAPKが必要であること、選択的阻害剤SB203580を用いてp38MAPK活性化を阻害することでGEM誘導アポトーシスが抑制されることを示し、p38MAPK経路はGEM誘導アポトーシスの制御に深く関与することを報告した。また、p38MAPKを介するGEM誘導アポトーシスの新たな分子機構として、GEMによって活性化されたp38MAPKがEGFレセプターのinternalizationを誘導することで細胞死を促進することを見いだしている。抗癌剤がアポトーシスを誘導する分子機構を解明することは、抗癌剤の効果増強や耐性化の回避、分子標的薬などの新規薬剤開発にも今後役立つものと考えられる。
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