2006 Fiscal Year Annual Research Report
C型慢性肝炎の進展に及ぼすTLR2遺伝子多型の機能解析
Project/Area Number |
18590715
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
邵 力 山形大学, 大学院医学系研究科, 助手 (80344787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 貴史 山形大学, 医学部, 助教授 (80250918)
河田 純男 山形大学, 医学部, 教授 (90183285)
深尾 彰 山形大学, 大学院医学系研究科, 教授 (80156736)
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Keywords | C型慢性肝炎 / 自然免疫 / TLR2 / 遺伝子多型 / HCV replicon |
Research Abstract |
C型肝炎ウイルス(HCV)は高率に持続感染し、慢性肝炎やさらに肝線維化が進行すると肝硬変や肝細胞癌に至る。C型慢性肝炎の進展には、免疫機序を介した炎症性変化が主な役割を果たしていることがすでに明らかになっている。その免疫応答についての解析は、これまで、獲得免疫に関するものが主体で行われていた。近年、To11-1ike receptor(TLR)を介した自然免疫がHCV感染における生体感染防御機構・炎症反応に深く関与していることが徐々に明らかになっているが、そのメカニズムの更なる解明が期待されている。 我々の先行研究からTLR2 5'-UTRの遺伝子多型がC型肝炎の進展に関与する可能性が示唆された。そこで本研究はそれらの分子機構を解明するため、TLR2遺伝子多型が宿主自然免疫系の機能変化および肝細胞におけるウイルス増殖の変化を修飾する可能性について検討を行った。現在の進捗状況は概ね計画通りであり、以下の成果を達成した。1)先行研究を引き続き、追加調査対象の収集・測定を行い、C型慢性肝炎においてTLR2 5'-UTR deletionは血小板数と関連があることが明らかとなった。また、luciferase assayの結果より、このdeletionは遺伝子発現にも影響があることが示された。2)近年開発されたLight Cyclerを用いたMelting Curve Analysis法で遺伝子多型を検出し、HapMap DatabaseからTLR2関連遺伝子のHaplotypeと疾患との関連性について解析した。その結果、CHUKおよびIKBKBの遺伝多様性がHCV肝線維化進展には影響を及ぼさないと考えられた。3)Dr.Riceから分与された恒常的なIn vitroHCV複製系HCV-FL-J6/JFH replicon systemを本施設に確立した。さらに、このsystemを用いてHuh-7,5細胞にTLR2-siRNAを導入後、HCV増殖レベルを定量的に解析したところ、TLR2の発現によるHCV複製能に差がないと考えられた。4)TLR2 5'-UTRdeletionによる宿主自然免疫応答の差異を検討するため必要となるHCV core蛋白をDetoxi-GelEndotoxinRemovingGe1を用いて精製した。 今後、TLR2遺伝子多型が宿主自然免疫応答に何らかの形響を与えるのかについて検討を行う。さらに、最終結果を整理・統計分析し、論文としてまとめる予定である。
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