2006 Fiscal Year Annual Research Report
高密度マイクロアレイを用いた包括的ゲノム解析による肝細胞癌の発生・再発機構の解明
Project/Area Number |
18590717
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金井 文彦 東京大学, 医学部附属病院, 客員准教授 (70334399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 康雄 東京大学, 医学部附属病院, 寄付講座教員(助教相当) (40422290)
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Keywords | 肝細胞癌 / ゲノム / マイクロアレイ / SNP |
Research Abstract |
肝細胞癌ではComparative genomic hybridizationもしくはマイクロサテライトマーカーを用いたジェノタイピングなどの手法で様々なゲノム異常が報告されてきたが、解像度及び分解能の問題から共通領域を正確に決定し標的遺伝子を絞り込むことは困難であった。近年SNP判定に用いるプローブのシグナル強度を用いてゲノム変化を解析することが可能である高密度オリゴヌクレオチドアレイ(GeneChip Human Mapping 100K Set, Affymetrix社)が開発された。本アレイはSNP間平均距離が23.6kbpで100kb以内に少なくとも1つのSNPが含まれる領域が全ゲノムの92%と高密度で、狭い領域のゲノム異常を検出することが可能である。そこで肝発癌に関与すると考えられる遺伝子異常を網羅的に同定することを目的に、本手法を用いた肝癌細胞株におけるゲノムワイドな染色体変化の解析を試みた。 肝癌細胞株16種類からゲノムDNAを抽出し、高密度オリゴヌクレオチドアレイにハイブリダイズした。得られたシグナルはソフトウェアCNAGを用いて解析し、コピー数変化、アレル不均衡性、及びヘテロ接合性の消失を検討した。増幅領域はゲノム全体にわたり広範囲に認められたものの、2つ以上の細胞株で共通して高度の遺伝子増幅が認められた部位の中で163-305kbpにわたる11q13.2-3の領域には既知の標的遺伝子であるcyclin D1が含まれていた。またゲノム上に散在するホモ接合体欠失の領域もごく狭い13-86kbp(1p21.3)の領域のものまで同定することができた。LOHは従来報告されている1p,4q,8p,9pなどの領域に高頻度に認められ、その領域に癌抑制遺伝子p53や細胞周期関連因子p16など既報の分子が含まれることが確認された。
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