2007 Fiscal Year Annual Research Report
B型肝炎ウイルス・ポリメラーゼ遺伝子解析による慢性肝炎の病態解明
Project/Area Number |
18590725
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
黒崎 雅之 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 医学研究員 (10280976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 並木 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 医学研究員 (20397300)
榎本 信幸 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (20251530)
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Keywords | Lamivudine / breakthrough hepatitis / Polymerase遺伝子 / domain B / domain A |
Research Abstract |
Lamivudine耐性ウイルスによる肝炎発症機構を検討するために、lamivudine投与によりHBVDNAが持続的に陰性(2.61og/ml未満)を維持している症例で、ポリメラーゼ遺伝子変異を検出し、臨床経過を検討した。その結果、HBVDNAが持続陰性である症例の28%にrt204変異が検出され、その54%が平均292日後にbreakthroughを発症した。Breakthrough発症率は、変異検出時期が治療開始後2年以内では80%、2-3年では50%、3-5年では33%、5年以上では0%であり、HBVDNA持続陰性例における耐性変異では、治療開始後長期間経過してから検出される症例からはbreakthrough hepatitisの発症が少なかった。1年以上breakthroughを発症しないrt204変異を潜在耐性変異と定義すると、2年以内は6%、2-3年は14%、3年以上では20%に検出され、長期治療例ではrt204変異が高頻度に存在するがbreakthrough発症率は低かった。rt204変異に加えてdomain Bのrt180、Domain Aのrt80にも高頻度に変異が見られたが、臨床像との関連は明らかではなかった。このような変異パターンのみではbreakthrough発症機構を解明することは困難であり、宿主側要因も含めた解析が今後は必要と考えられる。一方、lamivudine耐性例に対するentecavir治療においては、HBVDNAが4週-2.2log/ml、8週-2.7log/ml、24週-3.4log/ml減少し、24週HBVDNA陰性化率は50%であった。ETVを4年以上投与した5例のうち、投与24週時点でHBVDNAが陰性化しなかった3例中2例から、各々161週、231週後にrt184変異とbreakthroughを認めた。 lamivudine耐性例に対するentecavir治療においても、早期にウイルスが陰性化することが耐性阻止において重要であり、治療反応性を規定する因子について、今後更に検討する必要がある。
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Research Products
(7 results)