2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規B型肝炎ウィルス感染システムを用いた抗ウィルス機構の探索
Project/Area Number |
18590731
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丸澤 宏之 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (80324630)
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Keywords | HBV / APOBEC / 遺伝子変異 / 肝細胞 / HBe抗原 / 遺伝子編集酵素 / B型肝炎 / APOBEC3G |
Research Abstract |
In vitroのB型肝炎ウィルス(HBV)感染モデルを活用し、HBV感染成立時の細胞内免疫応答機構を明らかにする目的で、HBV感染時に発現量が変動する宿主分子の同定とその機能解析を進めている。HepG2細胞にHBV感染導入後、宿主抗ウィルス関連分子群の転写産物の発現量の変化を定量RT-PCRで検討したところ、遺伝子編集酵素のひとつであるAPOBEC3Gが発現誘導されることをが示唆された。そこでAPOBEC3G発現プラスミド作成し、このベクターを薬剤選択下で細胞に導入することにより、APOBEC3Gを恒常的に発現する培養肝細胞を樹立した。このAPOBEC3G発現細胞では、通常のHepG2細胞処理時と異なり、血清由来のHBVのin vitro感染が成立しないことが明らかとなった。そこで、HBV感染成立後の肝培養細胞に、APOBEC3Gのtransientな発現導入を行ったところ、感染したHBVのウィルス複製中間体であるHBV RNA量の低下,HBV-cccDNA量の低下とともに、経時的な細胞内ウィルスゲノム量のすみやかな減少を認めた。同時に、APOBEC3G発現後にHBVゲノムをcloningし、pre-CoreからCore領域の遺伝子塩基配列を検討したところ、APOBEC3GによりウィルスのHBe抗原タンパク質の産生を停止させる遺伝子変異(終始コドンの生成)を含む、さまざまざ遺伝子変異が誘導されることがわかった。以上の解析により、宿主のもつ遺伝子編集酵素であるAPOBEC3Gが、ウィルスの複製阻害をするとともに、ウィルスゲノムに変異を導入することで、HBV感染肝細胞において抗ウィルス分子として機能していることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)