2006 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチンリガーゼMDM2/ガンキリン複合体による肝発癌機構の解析
Project/Area Number |
18590732
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
東辻 宏明 京都大学, 医学研究科, 助手 (60281094)
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Keywords | 肝癌 / ユビキチンリガーゼ / p53 / MDM2 / pRB / トランスジェニックマウス / gene expression profile / proteomics |
Research Abstract |
肝発がん、および、その進展は、多段階の過程を経て、成し遂げられると考えられているが、その詳細なonsetとdevelopmentの分子メカニズムはよくわかっていない。また、治療による5年生存率は非常に悪く、外科以外の新しい治療法が必要であると考えられている。ヒト肝がんで過剰発現しているがん遺伝子ガンキリンが肝がんの発生、進展の分子機構にどのように関与しているかを解析、研究することを通じて、ガンキリンはがん抑制遺伝子p53蛋白質やpRB蛋白質に対するubiquitin ligase(E3)/MDM2の活性を充進させ、ポリユビキチン化されたp53やpRBを26SプロテアソームへターゲットするMDM2のコファクターであることが明らかになってきた。そこで、ヒト肝がんで過剰発現するがん遺伝子ガンキリンがin vivoで腫瘍のinitiation、promotion、progressionの種々の重要な各ステップにおいて、肝細胞のがん化に対して、どのような影響を与えるのかを解析するため、ガンキリントランスジェニックマウス肝がん(HCC)モデルを作製することとした。traditional transgenic approachを使って、外因性マウスガンキリンの発現量を高度にするため、肝臓特異的なserum amyloid P(SAP)のプロモーターのコントロール下においたFLAG付きマウスガンキリンをconstitutivelyに肝細胞に発現させたトランスジェニックマウスを4 lines、得た。このうち、外因性のマウスガンキリンがより高発現している2 linesのヘテロ(gankyrin/+)のマウスの肝臓に腫瘍の形成をみた。約10ヶ月齢のマウスに外からの視診、触診で判別可能で、マウス用のMRIでも明らかな充実性腫瘍の形成がみられた。組織型は未分化なhepatocellular carcinomaであった。これらの腫瘍のgene expression profiles、腫瘍細胞でよりポリユビキチン化された蛋白のproteomic identification、腫瘍細胞のanchorage-independent cell growth、ガンキリン経路の下流(p53、pRb蛋白の減少、pRb蛋白のリン酸化の亢進)の解析などを行なっている。さらに、ヘテロマウスおよびホモマウス(gankyrin/gankyrin)を作製し、経過をMRIで追跡し、ガンキリンで誘導された種々の時期の腫瘍について、characterizationをおこなう予定である。
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