2006 Fiscal Year Annual Research Report
非アルコール性脂肪性肝疾患の進展・発癌への潜在性HCVの関与
Project/Area Number |
18590734
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
佐藤 秀一 島根大学, 医学部, 講師 (10332785)
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Keywords | 非アルコール性脂肪性肝炎 / 滞在性HCV / 発癌 |
Research Abstract |
非アルコール性脂肪性肝炎(以下NASH)における潜在性C型肝炎ウイルスの関与を明らかにする目的で、平成18年度は以下の検討を行った。動物モデルを用いた検討:既存のHCV transgeniC mouseに高カロリー食を与えた栄養性脂肪肝合併HCV transgenic mouseを作成し、通常のHCV transgenic mouseや高カロリー食のみを与えて作成した脂肪肝マウスと肝発癌の割合を比較検討した。Macroscopicな検討では栄養性脂肪肝合併HCV transgenic mouseおよびHCV transgenic mouseにおいて18週目の摘出肝で腫瘍性病変が確認されたが脂肪肝マウスでは腫瘍性病変を認めなかった。またMicroscopicにも前癌病変を表すGST-P染色や肝細胞のPCNA染色の割合も栄養性脂肪肝合併HCV transgenic mouseおよびHCV transgenic mouseでは脂肪肝マウスに比べて有意に高かった。栄養性脂肪肝合併HCV transgenic mouseおよびHCV transgenic mouse各々の18週時点での肝重量、結節最大径、GST-P染色陽性細胞領域の割合、肝細胞のPCNA染色の割合は栄養性脂肪肝合併HCV transgenic mouseにおいて通常のHCV transgenic mouseに比べて高い傾向であったが現時点で有意差までは認めていない。今後観察期間および症例数を増やして検討する必要がある。臨床材料を用いた検討:B型肝炎ウイルス-DNA(PCR)陰性、HCV-RNA定性陰性のNASH症例の超音波下吸引生検材料を用いてHCV-RNAの検出をnested PCRにて行ったが、現時点で潜在性HCVの存在は証明できていない。症例が少ない影響もあり、次年度は症例を増やして検討する。しかしながら、B型肝炎ウイルス(以下HBV)DNAを2段階PCRにて調べたところ2例が陽性であった。潜在性HBVとNASHの関りに関しても検討していく予定である。
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