2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590736
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
日野 啓輔 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 教授 (80228741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
是永 匡紹 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (70420536)
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Keywords | C型肝炎 / hepcidin / 鉄代謝 / 活性酸素 / CCAAT enhancer binding protein / CHOP / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
平成18年度までにHCV全遺伝子が組み込まれたトランスジェニックマウス(HCV TgM)の肝内鉄蓄積機構として、鉄代謝ホルモンであるhepcidinの転写活性が低下しており、その原因としてhepcid in promoterの転写因子のひとつであるC/EBPαのDNA結合活性が低下していることを明らかにした。平成19年度はこのC/EBPαのDNA結合活性がなぜ低下しているかについて検討を行った。C/EBPファミリーにはC/EBPα以外にC/EBPβ、C/EBPδ、C/EBP homology protein(CHOP)が知られている。このうちCHOPはC/EBPα、C/EBPβとheterodimerを形成してC/EBPα、C/EBPβのDNA結合活性を低下させることが明らかにされている。そこで4ケ月齢、8ケ月齢、14ケ月齢のHCV TgMの肝におけるCHOPの発現をwestern blottingで解析したところ、8ケ月齢、14ケ月齢のHCV TgMのCHOPの発現はコントロールに比べて有意に上昇していた。さらにCHOPの発現亢進時期に一致して肝組織内の活性酸素(スーパーオキサイド)の産生が亢進していた。以上の結果より、HCVタンパク存在下では活性酸素の産生亢進に伴うCHOPの発現増加によりC/EBPαのDNA結合活性が低下し、これによりhepcidin promoter活性が低下することでhepcidinの転写活性が低下し、結果的に十二指腸からの鉄吸収ならびに網内系からの鉄放出が亢進することで肝の鉄蓄積が引き起こされることが明らかとなった。このHCV TgMの肝蔵には炎症を伴わないなどC型慢性肝炎と同一視できない部分もあるが、本研究はC型慢性肝炎における鉄蓄積機構を世界で初めて明らかにしたものとして国際的にも注目され、その研究成果はGastroenterologyに掲載された。
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Research Products
(4 results)