2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規癌関連遺伝子FIP200の肝細胞癌増殖における分子機構解析
Project/Area Number |
18590744
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
上田 弘樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (40347604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一ノ瀬 正和 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80223105)
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Keywords | 癌 / シグナル伝達 / 蛋白質 / 肝臓 / FIP200 |
Research Abstract |
新規のがん関連遺伝子であるFIP200の肝細胞癌での発現や働きを明らかにし、将来的には治療にも結びつけることを目標として研究を行っている。 基礎的検討として、培養肝癌細胞を用いてFIP200蛋白の肝細胞癌内での発現をwestern blotting法で検討した。細胞株としてはp53が野生型であるHepG2、変異型のHuH7およびPLC/PRF/5、発現が欠失しているHep3Bの4種類を用いた。内因性FIP200の発現は各肝癌細胞に発現されており、細胞群間ではわずかに発現度合いに差が認められた。p53および下流蛋白質の発現量の相関性を検討するため、p53や増殖抑制に必須のp21、p53のフィードバック調節因子のMDM2、アポトーシス誘導に関連するBaxやBcl-2について検討中である。 また、FIP200の肝細胞癌における細胞増殖やアポトーシスへの関与の検討もおこなった。FIP200の肝癌細胞増殖への関与を検討するためBrdu法を用いた。HA-tagged FIP200を各培養細胞にトランスフェクションし過剰発現させ、蛍光染色にて陽性細胞をカウントして増殖率を計算した。これと対照群と比較し細胞増殖がどう変化するのかを検討した。アポトーシス誘導の同定にはTUNEL法を用い同様に検討した。細胞増殖率の検討においては、HepG2,HuH7,PLC/PRF/5では増殖が抑制されており、特にHepG2で著明であった。一方、p53が失欠しているHep3Bでは増殖はコントロールと有意差がなかった。アポトーシスの検討では、HepG2でFIP200の過剰発現が認められる細胞に高率にアポトーシスが認められた。Hep3Bにおいては過剰発現細胞と対照と比較して有意な差は認められなかった。結果、FIP200は肝細胞癌に対して増殖抑制作用、アポトーシス誘導能を有していると考えられた。 臨床的検討として、外科的切除あるいは腫瘍生検で得られた肝癌組織を用いて、FIP200の発現を同定し悪性度や各種背景因子との関連性を明らかにすることであるが、現在IRBの承認を受け、サンプルを収集中である。
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